最新記事

日本社会

「どん兵衛・0円タクシー」のタダよりスゴい配車アプリ AIはタクシー業界の未来を握る?

2018年12月26日(水)19時35分
桃田 健史(ジャーナリスト) *東洋経済オンラインからの転載

 nwj20181226193216.jpg

「どん兵衛タクシー」の運転席には「MOV」を使うスマートフォンが(写真:筆者撮影)

MOVの開発のため、ディー・エヌ・エーは2018年4月から神奈川県で配車サービス「タクベル」の実証試験を行い、導入前と比べて、タクシー乗車数が大幅に伸びたことを証明できたとしている。

「タクベル」の特徴は、他社の配車アプリが「無線機連携方式」として有人オペレーターシステムにつながるのに対して、「アプリ連携方式」としてAIを活用した自動配車システムと有人オペレーターシステムを並行して稼働されている点だ。

ディー・エヌ・エー執行役員オートモーティブ事業本部長の中島宏氏は、日本は都市部での渋滞や地方部での鉄道バスの廃止など、「交通不全」が社会課題化しており、「この国の旧態依然とした交通をインターネットとAI(人工知能)で仕組みそのものからアップデートしていく」と抱負を述べた。

さらには、「タクシー配車アプリ戦争が、2019〜2020年で起こる。我々は不退転の覚悟で臨む。十分勝てる」と意気込みを語った。

ライドシェアリングは日本には不向き?

配車サービスといえば、海外では2010年代中頃から、一般の人が所有するクルマを使った、いわゆる白タク行為によるライドシェアリングが爆発的に普及し始めた。

火付け役となったのは、アメリカのUber(ウーバー)とLyft (リフト)の2社だ。2010年代初頭のサービス開始期は、乗車に対して料金ではなく寄付金を支払うという形をとってきたが、利用者数が急増したことでアメリカ各地の州、郡、市などそれぞれの地方自治体が個別の判断で有料営業の許可をはじめ、現時点では一部地域を除いてアメリカ全土で利用できるようになった。

こうした動きは欧州や東南アジア、インド、そして中国へと波及。中国では滴滴(ディディ)が最大シェアを誇る。

ただし、世界各地でタクシー・ハイヤー事業者とライドシェアリング事業者との間で、各地の政府や地方自治体を交えた「ライドシェアリング合法化に対する議論」は続いており、ライドシェアリング導入を認めていない国や地域も多い。日本もそうした国の1つだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独小売売上高指数、12月前月比-1.6% 予想外の

ワールド

トランプ氏の米国版「アイアンドーム」構想、ロシアが

ビジネス

ECB政策金利、春か夏にも中立金利に=フィンランド

ビジネス

ユーロ圏製造業、米関税より中国製品流入を警戒=EC
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    「やっぱりかわいい」10年ぶり復帰のキャメロン・デ…
  • 8
    フジテレビ局員の「公益通報」だったのか...スポーツ…
  • 9
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 10
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中