米株安に連動し日経平均も急落 「下値」見定めに役立つPBRとは?
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12月25日、世界的な株安が止まらず、下値めどが見えにくくなっている。写真は東京証券取引所で2月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)
世界的な株安が止まらず、下値めどが見えにくくなっている。市場が懸念しているのは景気や企業業績の悪化であり、1株当たり利益をベースにするPER(株価収益率)で下値めどを測るのは難しい。こんな時に参考になるのはPBR(株価純資産倍率)だ。企業の純資産を基準にしており、リーマン・ショック時でも0.9倍程度で下げ止まった「実績」がある。
「解散価値」割り込む
企業の純資産は、資産総額から負債総額を差し引いた自己資本。PBRは1株当たり純資産(BPS)を現在の株価で割って算出される。PBRが1倍であれば、企業が現時点で解散して資産を売却しても、株主1人当たりの分配金は株価と名目上同じだ。理論的には株価は「解散価値」よりも同等以上になる。
ニッセイ基礎研究所・チーフ株式ストラテジスト、井出真吾氏の調べでは、リーマン・ショックや、アベノミクス前夜の「最悪期」でも、PBR(株価純資産倍率、BPSは実績ベース)で0.9倍から1.0倍の水準が日経平均の下限として機能した。
リーマン・ショック時は一時的に0.9倍レベルを割り込み、09年3月には0.81倍台まで低下した場面もあったが、滞空時間はそう長くなく、PBR0.9─1.0倍台が抵抗ラインとなっている。
日経調べで21日時点のPBRは1.04倍(四半期末基準、連結ベース)。これから算出されたBPS1万9390円をベースにすると、PBR1.0倍で1万9390円、0.9倍で約1万7450円となる。
25日の日経平均<.N225>は、景気減速懸念に海外の政治リスクが加わる形となり、前日比で1000円超の急落となった。終値は1万9155円74銭。PBR1.0倍水準を割り込み、0.9倍基準にはあと1700円程度まで迫っている。
BPSが目減りするリスクも
予想PER(株価収益率)は、バリュエーション指標として機能しにくくなっている。日経調べでは、前週末の予想PERは11.25倍。歴史的に13─15倍の平均レベルからみると、かなり低いが、市場の懸念は企業業績の悪化であり、PERの分母である1株利益に疑いがもたれているなかでは「割安」とは判断しにくい。