GAFAのうち2社は習近平のお膝元
中国語で読み上げているメンバーの名前は、拙著『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』のp.177から179に、一覧表としてまとめてあるので、これも興味のある方はご覧いただきたい。p.175にはザッカーバーグのことに少しだけ触れた。
情報を抜いているのは誰か
今年12月18日、人民大会堂で改革開放40周年記念祝賀大会が開催され、習近平は1時間以上に及ぶ演説をした。この分析に関しては追って考察するつもりではいるが、とりあえず注目したいのは同大会で、改革開放に貢献したとして表彰された100人の中にAlibabaの馬雲やBaidu(百度)の李彦宏、あるいはテンセントの馬化騰やレノボの柳傳志・・・などの姿はあったが、Huaweiの創業者である任正非の姿がなかったことだ。任正非は招待されなかったのである。
いま習近平が国家運命の全てを注ぎ、それ故に米中対立の根幹になっている「中国製造2025」が目指す中国製半導体において、その最先端を行っているのはHuaweiの頭脳であるハイシリコン社だ。ハイシリコン製半導体がなければアメリカに勝てない。売れ行きにおいてもHuaweiが中国国内で断トツのトップを走っている。
だからこそトランプ大統領はHuaweiを攻撃している。その根拠としてHuaweiが情報を抜き取って中国政府に提供しているということだが、証拠は示されていない。証拠があるなら、プリズムのように証拠は出せる。おまけに証拠を出せば中国は完敗する。だというのに日本でも「噂」だけを頼りにトランプの攻撃を正当化して、Huaweiは中国政府と癒着して情報を抜き取り中国政府に提供しているという「噂」を流しているが、もし中国政府との関係が深いのなら、なぜこういうときにHuaweiのCEO任正非を表彰しないのか。もし噂が本当なら、彼こそは中国政府にとって最大の功労者ではないか。
そしてトランプはなぜ、中国政府そのものである国有企業ZTEやユニグループ(清華紫光集団)を攻撃しないのか?国有企業は中国政府そのものなので、癒着とか関係が深いどころではなく、情報を抜き取ればストレートに中国政府の手に渡る。そこを攻撃しないで、民間企業で中国政府と一定の距離を持っているHuaweiを攻撃するのは、その頭脳であるハイシリコンが怖いからだ。中国で唯一、アメリカ半導体の最高峰クァルコムと対等に競争できるのはハイシリコンだけだからである。日本の半導体もハイシリコンのレベルには及ばない。