ジョン・レノン殺害犯の10回目の仮釈放申請を却下、そのやり取りが公開される
今年8月に10回目の仮釈放申請を行なったマーク・デイビッド・チャップマン REUTERS
<ジョン・レノンを射殺した男、マーク・デイビッド・チャップマンは、現在、無期刑に服しているが、今年8月に10回目の仮釈放申請を行い、その際のやり取りがこのほど公開された>
「確実に死ぬため」殺傷能力の高い銃弾を使用
世界中のビートルズ・ファン、そしてジョン・レノンのファンが40年近く憎んでいる人物がいる。1980年12月8日に、米ニューヨークのレノンの自宅「ダコタ・ハウス」前でレノンを射殺した男、マーク・デイビッド・チャップマンだ。現在、無期刑に服しており今年8月に10回目の仮釈放申請を行ったが、その際のやり取りがこのほど公開された。なお、申請は8月のうちに却下されている。
仮釈放審議会でのやり取りを明らかにしたのは、チャップマンが服役中のニューヨーク州ウェンデ刑務所。63歳になったチャップマンは、「20年から終身まで」の無期刑の判決を受けており、2002年からこの刑務所で服役している。審議会では、ジョン・レノンを射殺したことについて「年々、恥の念が強くなる」「30年前は恥じているとは言えなかったが、今は後悔の念が何たるかを理解できる」と話したといい、英ガーディアン紙は「後悔の念を口にした」と報じている。
チャップマンは事件のあった日、殺害しようと声をかける数時間前に、レノンにサインをもらっていた。その際のレノンには「信じられない」ような対応をしてもらったとチャップマンは振り返っている。実際に殺害を実行する前には、心の中で「アルバムも手に入ったじゃないか。見てみろよ、彼(レノン)がサインしてくれた。もう家に帰ろう」と考えたことを覚えている、と述べた。とはいえ、「ただ家に帰るなんてあり得なかった」と加えている。
ガーディアンによると、チャップマンがレノンを殺害した動機は、有名になりたかったから。レノンに憎しみを抱いていたわけではなかったと述べているという。また、殺傷能力がより高い「ホローポイント弾」を使用した理由については、レノンが「確実に死ぬため」だったとしつつ、「犯行直後は、彼が苦しまなかったかが気になった」と話した。
事件時チャップマンは、銃に装填されていた5発全てを発砲している。うち4発がレノンに命中し、レノンは搬送された病院で死亡が確認された。出血性ショック死だった。
ヨーコ、ジュリアンとショーンの身の安全を懸念
審議を行ったニューヨーク州仮釈放委員会は申請を却下した理由として、もし認めてしまうと、チャップマンの犯罪の深刻さを軽減してしまうこと、また、怒りにかられたり復讐したりすることを目的に、または自分の知名度を上げようとして、チャップマンに危害を加えようとする人がいるかもしれないことなどを挙げた。
仮釈放審議会を控えた8月15日や審議会当日の8月22日には、ダコタ・ハウスの正面にあるセントラル・パークの「ストロベリー・フィールズ・メモリアル」で、仮釈放の申請を却下するよう求めるファンの集会が行われていた。