インドネシア政府、スラウェシ地震・津波の捜索11日で終了へ 怒りと落胆の被災者
瓦礫となった被災地で行方不明者の捜索は続いているが Athit Perawongmetha - REUTERS
<地震と津波の発生から10日が過ぎたインドネシア。被災地の実情を無視した杓子定規な政府の対応に批判が高まっている>
9月28日にインドネシア・スラウェシ島の中スラウェシ州で発生したマグニチュード7.4の地震とそれに伴う津波被害。行方不明となっている住民や倒壊した建物の瓦礫の下敷きになっている遺体の収容作業は依然として続いている。そんななか、インドネシア政府国家災害対策庁(BNPB)は10月7日、捜索救助活動を11日で終了する意向を明らかにし、行方が分からない家族を探している現地の被災者などからは怒りと落胆の声が上がる事態となっている。
BNPBや現地で捜索活動を続けるインドネシア国軍などによると、10月8日までの犠牲者は1944人に達し、重傷者は2549人、行方不明者は683人でこのうち152人は瓦礫の下敷きになっているとみられている。
日本の航空自衛隊C130輸送機によるカリマンタン島バリクパパン空港からのピストン輸送によるテント、浄水器、発電機などの救援物資の搬入などが6日から本格化した。一方、被害が大きかった州都パルやドンガラなどの地区では依然として行方不明者の捜索が国軍兵士、警察官、国家捜索救助庁(BASARNAS)、民間ボランティア団体、フランスからの救助隊などによって続けられている。
緊急対応は発生後2週間の規定
しかしBNPBは「行方不明者捜索及び遺体の回収作業は11日を以って終了とする」と発表した。BNPBではインドネシア災害関連規定では災害時の緊急対策期間が「発生から2週間をめどとする」と決められていることを根拠に「11日で2週間となる」として捜索・回収作業の中止を決めたとしている。
またBNPBでは地震による液状化現象で地盤沈下が激しい地区などに関しては「今後も瓦礫の撤去作業は続ける」としたうえで「瓦礫撤去後はもはや住居地区としては不適切なため整備して公園やスポーツ施設を建設したい」との意向を明らかにした。
こうしたBNPBによる杓子定規な捜索中止決定や被災地の跡地利用に早くも言及するような姿勢に対しては「家族が未だに見つからないのに中止は許されない」「家族親族だけでも捜索は続ける」「イスラム教徒は個人の亡骸をきちんと埋葬しないわけにはいかない」などの被災者からの怒りと落胆の声が地元紙を賑わせる事態となっている。