酸攻撃に遭い地獄を見た女性「誰にも醜いとは言わせない」
The Acid Attack Victim Setting a New Beauty Standard
5年前、通り魔に硫酸を浴びせられ、心ないイギリスの新聞に「ひどく醜い」と書かれて立ち上がったケイティ・ジー Holly Snelling/Newsweek
<酸攻撃で負傷した外見を「ひどく醜い姿」と新聞に書かれたことで、彼女は従来の美しさの基準を塗り替える大胆な行動に出た>
「大声で助けを呼びながら、シャワーで全身を洗った」
ケイティ・ジー(23)は、人生を永遠に変えてしまった5年前の酸攻撃のことを語った。「あの場を生き残るには、5秒先のことを考えるので精一杯だった」
ロンドン出身で当時18歳だったジーが、大学入学前に友人と一緒にアフリカのタンザニア沖の島ザンジバルに行き、子供たちに英語と算数を教えていた時だった。
ある夜の宿への帰り道、スクーターに乗った男2人が突然2人の顔面に液体を浴びせて走り去った。
「恐怖のあまり混乱した。同時に、やるべきことを合理的に考えていた。浴室に向かってあんな必死で走ったことはない。硫酸をかけられて私が最初にやったのは、スクーターのナンバープレートを見ることだった」
自信に満ちた現在
地獄のような苦痛はそれだけで終わらなかった。全身に硫酸を浴び、着ていた服はボロボロだ。病院では、硫酸を洗い落とすのに使う塩水を切らしていた。清潔な水を求めて駆け込んだホテルにも、入室を拒否された。結局、プールで5時間シャワーを浴び続けた。
彼女はその後、ロンドンの病院に2カ月入院し、60回超の手術を受け、セラピーに通った。友人全員が大学に進学したが、彼女は顔と全身に負った傷の治療をしなければならなかった。事件の恐ろしい記憶が、常に脳裏に付きまとった。
事件から5年経ち、ジーの境遇は大きく変わった。大学を卒業し、大学院への進学も決まった。自信に満ち、リラックスして見える彼女の目下の悩みは、どこにでもいる23歳の女の子と同じだ。「私の髪、ベタついてませんか?」──インタビューでカメラを回し始めたときも、そんなことを気にしていた。
事件後、実はジーはもう一つ、忘れられない衝撃に襲われた。