本田に野茂にネイマール......「ゲームチェンジャー」は批判を恐れない
IN PRAISE OF THE GAME-CHANGERS
多くのトップアスリートは、例えばクリスティアーノ・ロナウドのようにナルシシストだと言われたり、朝青龍や本田圭佑のように傲慢に見えたりする(本田はサッカーW杯3大会連続でゴールを決めた数少ない選手の1人なのに、なぜかやたらと批判を浴びる)。
それは避けられないことなのだ。一般社会では謙虚は美徳だ。だがトップレベルのアスリートが自分の能力に疑いを持ったら、対戦相手を怖がらせることはできない。
彼らは子供時代や青春時代を犠牲にして、成功に全てを賭けた。道半ばにして失敗し、精神を病んだり依存症になった選手もいる。キャリアを終えてから、それまでのツケを払うことになった選手もいる(例えば清原和博だ)。
彼らに普通の人生を生きろと言っても無理なのだ。普通の人生など知らないのだから。
すごい選手は欠点もすごい
偉大なアスリートが人前で見せる顔はさまざまだ。ロジャー・フェデラーやペレは紳士に見えたが、ジョン・マッケンローやディエゴ・マラドーナは違う。だが、フェデラーにも外からはうかがい知れない部分があるだろう。
マッケンローは26歳の頃から女優たちと浮名を流し、二度とトップに返り咲くことはなかった。80年代前半のテニス界で王者として一時代を築いた後は、人生を楽しみたかったのだ。
フェデラーは今年のウィンブルドン選手権で36歳にして第1シードとなったが、まだ満足してはいない。彼が目指すのは史上最高のテニス選手として名を刻むことだ。マッケンローとフェデラー、どちらがナイスガイで、どちらが勝利に取りつかれた戦士だろうか。
サッカーブラジル代表のネイマールは、ファウル欲しさから大げさに痛がる「過剰演技」で知られ、マラドーナは「神の手」ゴールで歴史に名を残した。タイガー・ウッズはセックス依存症だった。並外れたアスリートは欠点も並外れている。
スティーブ・ジョブズが礼儀正しい男だったら、iPadもiPhoneも生まれていなかっただろう。そしてウェッブ・エリスがフェアプレー精神あふれる少年だったら、ラグビーは生まれていなかった。
<本誌2018年9月11日号掲載「特集:『嫌われ力』が世界を回す」より転載>
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