森を再生し森と共存を目指すインドネシアの挑戦 5年で1万本の植林活動
木を植えるということ
2017年に続いて娘さんと親子で植樹ツアーに参加したという北海道の酒井嘉子さん(58)は「日本でもインドネシアでも森には命があり、それを感じることで人も自然の一部となる。人と自然の関係は決して対立するものであってはならず、共に生きる、むしろ森に抱かれて生きるという感じです」と植樹の意義を強調する。
植樹ツアー5年目の2018年、初回から参加している新聞記者や初参加の業界紙記者、在日インドネシア大使館の林業部長、イギリス人など多彩な人たちが、灼熱の太陽が照り付けるスマトラ島の大地に1本のフタバガキを植えた。小さな苗木だがいずれ成長して林となり森となることを願いつつ、汗まみれで土をかぶせ水を遣った。
紙製品の需要があるという現実のなかで、世界的な環境破壊、森林破壊の問題を考えるとき、この小さな苗木の問いかける課題は限りなく大きい。
[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など
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