マレーシア、観光誘致ロゴに批判止まず作り直し「オランウータンがサングラス? あり得ない!」
コンテストで近く新デザイン
ケタピ大臣は地元メディアに対し「現在のロゴは変更する。そのための新デザインを決めるコンテストを近く開催したい」と変更することを決断した。
この決定に対し、Face Bookなどのインターネット上では「ついに醜く酷いロゴが変わることになった!」と歓迎する声があふれている。
この決定を受けてマレーシア観光局のインターネットのホームページ「ツーリズム・マレーシア」ではロゴが消え、ダウンロードもできなくなっている。ただし同ページでは評判が悪かったロゴについて「シンプルかつパワフルなデザインでマレーシアの多様多彩な観光資源をよく表している。オランウータンとテングザルは貴重なマレーシアの野生動物である」などと高く評価している文章がまだそのまま残されている。
魅力ある観光スポットの数々
マレーシアはマラッカ海峡の歴史的都市群やレンゴン渓谷の考古遺跡、ボルネオ島サバ州にあるキナバル山(標高4095メートル)を擁する自然公園、洞窟群とジャングルトレッキングのグヌン・ムル国立公園という文化、自然の世界遺産があるほか、ペナン島、ランカウイ島、ティオマン島などのリゾート島、
カジノのゲンティンハイランド、シルク王ジム・トンプソンが消息を絶ったキャメロンハイランドなど多くの観光スポットがある。
東南アジアの中では治安は比較的よく、イギリス連邦から独立したため英語もよく通じることや、マレー、中国、インドの民族と文化が混在する多様性も魅力となっている。
だが、マレーシアは観光キャンペーン期間の2017年から2020年までの間、毎年3600万人の観光客を誘致する構想を描いていたが、2016年の総観光客数が2676万人、2017年は2540万人と微減するなど、キャンペーンの効果は今のところ出ていないというのが実情だ。
このため政府、観光業界の総力を挙げて観光客誘致を進めているところで、評判の極めて悪かった「キャンペーンロゴ」の見直しはその一環となる。
もっともケタピ大臣は「これまでのロゴを全面的に破棄して変更するというより、改良する形で早期に新しいロゴを決めたい」としており、果たしてどんな新ロゴが誕生するか国民の期待が集まっている。
[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など
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