マレーシア、観光誘致ロゴに批判止まず作り直し「オランウータンがサングラス? あり得ない!」
政権交代によってマレーシア観光芸術文化省は観光客誘致キャンペーンのロゴを作り直すことに
<日本同様マレーシアも2020年まで観光客誘致に力を入れているが、政権交代で批判の多かったキャンペーンロゴがさっそく作り直しの事態になっている。>
2017年から2020年までを「マレーシア観光年」として国際的に観光誘致を官民挙げて進めているマレーシア政府が8月14日、すでに発表された観光促進ロゴを変更することを決めた。理由は「あまりに時代遅れでダサい!」と国民の間から嘲笑の的になっていることを重く受け止めた結果という。
問題となっていたロゴは全体として切手のデザインで「ビジット マレーシア2020年 トラベル・エンジョイ・リスペクト」の文字とともに首都クアラルンプールの象徴でもあるペトロナスタワー(ツインタワー)が中心に描かれ、2020の二つの0の部分に椰子と海と亀のイラストとオランウータンとテングザルが並ぶ様子が描かれている。
2018年1月にこのロゴがマレーシア観光芸術文化省などで発表された直後から、国民の間で議論が沸騰、大半がロゴに反発するものだった。
なぜ亀、オランウータンがサングラス
国民の不満、批判が集中したのは、ロゴに登場する亀、オランウータン、テングザルというマレーシアを代表する動物がそろってサングラスをかけていることだ。
ネットなどに書きこまれた国民の不満は「時代錯誤であり、センスがない」「醜く不愉快」「サングラスをかける意味が不明」「亀、オランウータン、テングザルはサングラスをかけることはない」「標語にリスペクトとあるが動物へのリスペクが感じられない」など酷評に次ぐ酷評で、一部ではロゴ変更を求める署名運動も起き、数千人が名前を連ねたという。
こうした不満、批判の声に対して当時のナズリ・アブドゥール・アジズ観光芸術文化大臣は「ロゴを変更するつもりはない」として強硬姿勢を維持していた。
ところが2018年5月のマレーシア総選挙でそれまでのナジブ政権が野党連合に敗れ、政権交代が実現し、それに伴い観光行政のトップである大臣も交代した。
マハティール元首相率いる新政権で観光芸術文化大臣に抜擢されたのはモハマディン・ケタピ氏でボルネオ島サバ州の先住民族系という異色の大臣だった。
オランウータンは最も人間に近い類人猿でインドネシアとマレーシアにしか生息しない絶滅の危機に瀕した動物である。新大臣の出身地サバ州のセピロクには絶滅の危機に瀕したオランウータンのリハビリセンターがあり、密輸やペットから保護されたオランウータンを自然の森に返すためのリハビリが行われている。