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地震リゾートの島が一転、数千人が薄手のテント暮らしに インドネシア地震の被災地は今
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インドネシア、ロンボク島で8日、テントで避難生活を送る住人(2018年 ロイター/Beawiharta)
剥がれ落ちてくるタイルや割れたガラスをよけて自宅から逃げ出した直後、インドネシアの農家ハジ・ルスランさんとその家族が住んでいた家は倒壊した。ルスランさんらは、家の反対側からその様子を見つめていた。
ルスランさんと家族は無事だったが、5日発生したマグニチュード(M)6.9の地震により、地区では住民40人が死亡した。政府の支援が届くのを待っているルスランさんらには、生き延びて幸運だったと感じる余裕はない。
「私たちが生きているということが一番大事だ。でも希望もなく、力も残されていない」と、ルスランさんは話す。ルスランさんの妻は、崩壊した自宅跡で、床に敷くマットや枕、台所用品など、使えるものがないか探していた。
130人以上が死亡し、滞在中だった観光客数千人が島外に脱出した5日の地震は、リゾート地ロンボク島を襲った過去最大の地震だった。その1週間前には、M6・4の地震が同じ場所で発生し、17人が死亡したばかりだった。
トウモロコシ畑や水田に囲まれたGumantarの集落の住人は、薬やコメ、インスタント麺や水などを運ぶのに、島内に住む家族や住人の善意、ボランティアに頼っている状況だ。
ロンボク島北部の農地や丘陵地に住む数千人の住民は、薄手の防水テントに避難している。巨大地震のショックに加えて余震が続いているため、屋内では落ち着いて眠れないのだ。また、戻る家をなくした人も多い。
震源地から車で東に30分ほどの位置にあるGumantarの集落をくねくねと走る一車線の道路の両側は、崩壊した家や集会所、学校などのがれきでいっぱいになっていた。
電柱が倒壊したため村人は電気が使えなくなり、緊急対応チームや親戚に連絡を取ろうにも、電波がなくて携帯電話は利用できない状態だ。
地面からは水道管が露出し、地震でできた亀裂から水がもれ出ていた。
道路わきのテントには女性たちが座り、インスタント麺や水の割り当てを行っていた。
運動場は折れ曲がった金属類でいっぱいになっており、授業がなくなった子どもたちは、草原で追いかけっこをしたりニワトリと遊んだりしている。
夜になると、携帯用発電機で数個の電球に明かりがともり、数百人の避難者がその周辺に集まる。
住民は、隣人や家族が今回の地震で死んだと話すが、その声にはあまり感情は感じられない。まだショック状態にある人が多いのだ。
「夢を見ているみたいだ。こんなことが起きて、すべてがなくなったなんて信じられない」と、スニアティさんは話す。「コミュニティーはまだ地震や余震の痛みを感じているところだ」
ルスランさんのように、素手でがれきを片付けようとしている住民もいる。ハンマーやロープを使って一部倒壊した壁を倒し、復興工事ができる状態にしようとしている人もいる。
家を再建して生活を取り戻すには、さらに支援が必要だと話す人が多い。
「将来どうやり直せばいいのか分からない。誰かに助けてほしい」と、ルスランさんは話した。
(翻訳:山口香子 編集:伊藤典子)
[Gumantar (インドネシア、ロンボク島) 8日 ロイター]
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