最新記事

ブレグジット

英政府発行のブレグジット白書の各国語翻訳がひどい! 他言語への敬意が足りない?

2018年8月7日(火)17時25分
モーゲンスタン陽子

ブレグジット白書のドイツ語訳もあまりにひどいと問題に  REUTERS-Leon Neal

<英政府がEU離脱方針をまとめた要項の各国語版の翻訳が、あまりにひどいと評判だ>

7月半ば、英政府は欧州連合(EU)離脱方針をまとめた要項、「ブレグジット白書」を発表した。同白書は欧州22の言語に翻訳されたのだが、その翻訳があまりにひどいと話題だ。翻訳ソフトを使ったのではないかと、ネットでもさっそく叩かれている。

英語で読んだほうがマシ

各翻訳バージョンは、奇妙な言葉、文語、創作語などを含み、各語ネイティブスピーカーのあいだに混乱と批判、嘲笑を引き起こしている。ある翻訳家は「政府のブレグジット白書の翻訳は本当にひどい。調子外れで、言葉遣いが間違っている。メニューページでは、各語の名前のスペルさえ間違っている(ドイツ語、フィン語、エストニア語)」と、iNewsに語っている。

なかでもとくにひどいと言われているのがドイツ語だ。ドイツ語のリンクはDeutscheのタグで表示されていたが、正しくはDeutschでなければならない。後に他の言葉が続く場合は、たとえばDeutsche Bahn 「ドイツ鉄道」のように-e がつくことがあるが、単独では使わない。EU圏内で最大の人口と経済力を誇るドイツ語でのこのミスは問題だ。ドイツ語のネイティブスピーカーたちの目には「古代ドイツ語」のような摩訶不思議な言語に映るようだ(インディペンデント)。

アイルランド語やクロアチア語にも間違いが多いようだ。また、100ページすべてが翻訳されたのはウェールズ語のみだが、これはEUの公用語ではない。またむしろ、アイルランド語、ウェールズ語の話者、あるいはマルタなど英語が公用語の1つである国の人々にとっては、おかしな翻訳を読むより英語を読む方がずっと早いだろう。

ドイツ人やオランダ人の多くも英語が達者だ。あるオランダ人はツイッターに「親愛なるイギリス政府へ。努力は感謝いたします。おそらくお気づきではないでしょうが、あなたたちを理解してほしいなら、どうぞ英語を使い続けてください。これはひどすぎます。心を込めて、オランダより」と投稿している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

シリア暫定政府、国防相に元反体制派司令官を任命 外

ワールド

アングル:肥満症治療薬、他の疾患治療の契機に 米で

ビジネス

日鉄、ホワイトハウスが「不当な影響力」と米当局に書

ワールド

米議会、3月半ばまでのつなぎ予算案を可決 政府閉鎖
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、何が起きているのか?...伝えておきたい2つのこと
  • 4
    「私が主役!」と、他人を見下すような態度に批判殺…
  • 5
    「たったの10分間でもいい」ランニングをムリなく継続…
  • 6
    トランプ、ウクライナ支援継続で「戦況逆転」の可能…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 9
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 10
    映画界に「究極のシナモンロール男」現る...お疲れモ…
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 3
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達した...ここまで来るのに40年以上の歳月を要した
  • 4
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 7
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 8
    【クイズ】アメリカにとって最大の貿易相手はどこの…
  • 9
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 10
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 4
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 5
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 8
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 9
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 10
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中