崩れ落ちる中国経済 住宅ローン地獄で家計債務がリーマン危機前水準に
急速な変化
厦門市には最近建設された高層建築があふれており、地方政府は市の中心である厦門島を除く周辺地区の開発を推進している。
同市の新築住宅価格は2015年から今年6月までに53%上昇しており、年換算では約19%と、中国国家統計局が調査対象としている70都市の中で最大の伸び率を記録。同時期における厦門市の可処分所得の伸び率は平均8.4%にとどまった。
公式統計に基づいたロイターの計算によれば、中国全体の新築住宅価格は、2015年以来20.7%上昇している。
しかし、冒頭で紹介したYangさんのような住宅所有者が警戒すべきは、住宅購入を規制する新ルールの導入以来、厦門市での住宅販売が低迷し、既存の住宅価格が今年1─6月で4.8%下落している点だ。
ロイターの計算によれば、他の70主要都市における同価格は平均3.9%上昇している。
厦門市民にとり、住宅価格と収入のギャップが拡大している。90平方メートルの住宅価格は平均45万ドル(約5000万円)だが、1人当たり所得は年間約7500ドル(約83万円)にとどまっている。
購入者に住宅ローン返済をする余裕があるとしても、住宅価格の最低3割は頭金として要求される場合が多い。平均価格で見ると、これは60年分の可処分所得に相当する計算になる。
2人の子供を持つ28歳のHuangさんは、自分と妻の両親が昨年200万元の頭金を出してくれたという。姓だけを教えてくれたこの男性は、住宅ローンの返済が月8000元に達しており、他に使えるお金はほとんど残らない、と語った。
「いらいらするし、疲れ果てて、うんざりしている」と彼は言う。
国際決済銀行(BIS)によれば、昨年末時点で厦門市における家計債務は同市の国内総生産(GDP)の98%に達し、全国レベルの同55%を大きく上回り、米国における家計債務の対GDP比79%よりも高くなっている。
さらに、厦門市における家計貯蓄に対する家計債務の比率は182%と驚くほど高い。