韓国トヨタのハイブリッド車が好調な理由
トヨタのプリウスとカムリ Toru Hanai-REUTERS
<2017年、韓国でトヨタが年間売り上げ1兆ウォンの大台を初めて突破。主な要因は2つあると思われる...>
韓国でトヨタの年間売上げが1兆ウォン(約999億円)を突破した。韓国トヨタ自動車が金融監督院に提出した2017会計年度(2017年4月〜2018年3月)の監査報告書によると、売上高は前年会計年度比22.5%増の1兆491億ウォン(約1048億円)で、営業利益も前年比34.8%増の608億ウォンだった(聯合ニュース)。販売台数はトヨタ車が1万3012台、レクサス車が1万3347台の計2万6359台に達している。
2014年の販売台数は約1万3304台で売上げは5387億ウォン、15年も1万5781台、5969億ウォンだった韓国トヨタは、販売数、売上とも短期間で大幅な増加率を記録した(韓国輸入自動車協会)。
ステータスを誇示する意味が強い韓国の輸入車
韓国における国産自動車の販売台数は2016年の158万8572台に対して、17年は155万80台とわずかながら減少したが、輸入車は22万5279台から23万3088台へと増加している。
韓国では国産車と輸入車に乗っている人への対応の差が大きく、2012年に輸入車のシェアが10%を超えて以降拡大を続けている。ある企業が経費削減で社用車のランクを落としたら、いつも利用していたホテルの対応が変わったという話があるなど輸入車はステータスを誇示する意味合いが強い。
2017年度のメーカー別売上高は、メルセデス・ベンツコリアが4兆2664億ウォン、BMWコリアも3兆6337億ウォンで、国内5大メーカーの第3位ルノーサムスン自動車の2兆9716億ウォンを上回っている。双竜自動車は2兆7322億ウォン、韓国GMは2兆7145億ウォンだった。
輸入車全体の2017年の売上高は12兆2766億ウォンに達し、国内2位の起亜自動車の年間売上げ12兆5458億ウォンに肉薄する。
韓国の高い人件費、低い生産性
韓国自動車産業の不振はステータスもあるが、硬直した労働市場と高い人件費、低い生産性などが主な原因と専門家は分析する。
韓国経済新聞によると韓国の自動車メーカー5社が自動車1台の生産に要する時間(HPV)は2015年基準で26.8時間となっており、トヨタの24.1時間、米ゼネラルモーターズ(GM)の23.4 時間より長いが、1人当たり年間平均賃金は9072万ウォン(約901万円)と、トヨタの8391万ウォンやドイツ・フォルクスワーゲンの8303万ウォンより高い。
自動車業界は売上高に対する人件費比率が2桁に達すると積極的な研究開発投資が難しいといわれるなか、韓国メーカーの人件費比率は12.3%に達している。トヨタは5.8%、フォルクスワーゲンは9.9%である。