最新記事

韓国事情

韓国トヨタのハイブリッド車が好調な理由

2018年7月24日(火)18時39分
佐々木和義

トヨタのプリウスとカムリ Toru Hanai-REUTERS

<2017年、韓国でトヨタが年間売り上げ1兆ウォンの大台を初めて突破。主な要因は2つあると思われる...>

韓国でトヨタの年間売上げが1兆ウォン(約999億円)を突破した。韓国トヨタ自動車が金融監督院に提出した2017会計年度(2017年4月〜2018年3月)の監査報告書によると、売上高は前年会計年度比22.5%増の1兆491億ウォン(約1048億円)で、営業利益も前年比34.8%増の608億ウォンだった(聯合ニュース)。販売台数はトヨタ車が1万3012台、レクサス車が1万3347台の計2万6359台に達している。

2014年の販売台数は約1万3304台で売上げは5387億ウォン、15年も1万5781台、5969億ウォンだった韓国トヨタは、販売数、売上とも短期間で大幅な増加率を記録した(韓国輸入自動車協会)。

ステータスを誇示する意味が強い韓国の輸入車

韓国における国産自動車の販売台数は2016年の158万8572台に対して、17年は155万80台とわずかながら減少したが、輸入車は22万5279台から23万3088台へと増加している。

韓国では国産車と輸入車に乗っている人への対応の差が大きく、2012年に輸入車のシェアが10%を超えて以降拡大を続けている。ある企業が経費削減で社用車のランクを落としたら、いつも利用していたホテルの対応が変わったという話があるなど輸入車はステータスを誇示する意味合いが強い。

2017年度のメーカー別売上高は、メルセデス・ベンツコリアが4兆2664億ウォン、BMWコリアも3兆6337億ウォンで、国内5大メーカーの第3位ルノーサムスン自動車の2兆9716億ウォンを上回っている。双竜自動車は2兆7322億ウォン、韓国GMは2兆7145億ウォンだった。

輸入車全体の2017年の売上高は12兆2766億ウォンに達し、国内2位の起亜自動車の年間売上げ12兆5458億ウォンに肉薄する。

韓国の高い人件費、低い生産性

韓国自動車産業の不振はステータスもあるが、硬直した労働市場と高い人件費、低い生産性などが主な原因と専門家は分析する。

韓国経済新聞によると韓国の自動車メーカー5社が自動車1台の生産に要する時間(HPV)は2015年基準で26.8時間となっており、トヨタの24.1時間、米ゼネラルモーターズ(GM)の23.4 時間より長いが、1人当たり年間平均賃金は9072万ウォン(約901万円)と、トヨタの8391万ウォンやドイツ・フォルクスワーゲンの8303万ウォンより高い。

自動車業界は売上高に対する人件費比率が2桁に達すると積極的な研究開発投資が難しいといわれるなか、韓国メーカーの人件費比率は12.3%に達している。トヨタは5.8%、フォルクスワーゲンは9.9%である。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

サムスン、第1四半期のAI半導体低迷を警告 米の対

ワールド

ガザ検問所に米退役軍人配置へ、イスラエル・アラブ諸

ワールド

米レーガン空港、ヘリとのニアミス事案頻発 80年代

ビジネス

コマツ、今吉専務が社長就任へ 小川社長は会長に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    「やっぱりかわいい」10年ぶり復帰のキャメロン・デ…
  • 8
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 9
    空港で「もう一人の自分」が目の前を歩いている? …
  • 10
    フジテレビ局員の「公益通報」だったのか...スポーツ…
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 5
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中