韓国トヨタのハイブリッド車が好調な理由
現代・起亜自動車の売上高に対する研究開発比率は2.8%で、トヨタの3.6%、フォルクスワーゲンの5.7%、GMの5.7%などと比べて低く、部品メーカーに至っては、現代モービスの研究開発比率は2.2%で、ドイツ・ボッシュの9.3%や日本のデンソーの8.8%とは比べものにならない。
安全や環境対策など、自動車を取り巻く状況が大きく変化する昨今、研究開発は競争力に直結する。
文在寅政権がトヨタを後押し?
2017年、トヨタが大幅に売上を伸ばした主な要因は2つある。
まずは、フォルクスワーゲンとアウディの失速が指摘されている。2015年9月に米環境保護局が独フォルクワーゲン社のディーゼルエンジン排出規制不正を暴いた。韓国で人気が衰えることはなかったが、同社はフォスクスワーゲンとアウディの一部人気モデルの販売を中断した。
アウディ・フォルクスワーゲンコリア社の不振で、トヨタに加えて、ジャガー・ランドローバーコリアも2017年度にはじめて年間売上1兆ウォンを達成している。
2つめはハイブリッド車である。韓国トヨタは2006年にハイブリッド車「レクサスRX400h」を韓国市場に投入し、2014年からは「360度ハイブリッド戦略」と銘打って、トヨタ車、レクサス車ともハイブリッド車を前面に打ち出してきた。
ガソリン代が高い韓国は、ディーゼル車の人気が高く、LPG車も少なくない。売れ筋のセダンでディーゼル車のラインナップを持たない日本車はドイツメーカーに押されていたが、大気汚染が深刻さを増すとともにハイブリッド車を選ぶ消費者が増加した。
ディーゼル車対策を公約に掲げた文在寅政権もハイブリッド車主体のトヨタを後押しする。
韓国では、プリウスよりカムリとレクサスの方が人気なのだが、韓国トヨタのカムリハイブリッドは約4000万ウォン。同クラスの現代自動車のグレンジャーハイブリッドや起亜自動車のK7ハイブリッドは3000万ウォン台後半で価格差は小さい。
最も人気があるレクサスES300hは韓国車より高いが、同クラスのドイツ車より安い。性能や燃費と価格差からコストパフォーマンスが高いと見る若い層が増えており、2017年度に販売したレクサス車も90%がハイブリッド車だった。
2018年に入ってアウディ・フォルクスワーゲンコリアが新製品を投入したことで、韓国トヨタの輸入車のシェアが落ちるという予測がある。文在寅政権の公約はディーゼル車対策で電気自動車の普及を促進するというものだが、充電インフラの整備が遅れるなか、ハイブリッド車で一日の長があるトヨタの優位性が当面崩れることはないだろう。