「墨かけ女子事件」は中国民主化運動に発展するか?――広がる「習近平の写真に墨汁」
拘束されてしまったのだろう。
やがて董瑶けいのツイートがネットから全て削除され、アカウントも封印されてしまう。
友人や家族が携帯に電話しても、すでにつながらない状態になっていた。
連鎖反応を起こした中国人民
ネットには多くの書き込みが溢れた。
●あなたは誰もがやりたいと思っていてもできないでいることを実行に移したのだ。
●誰もが、この息詰まりしそうな空気の中で沈黙し続けることに限界を覚えている。でも勇気が持てないでいる。あなたはわれわれに勇気を与えてくれた。あなたこそが英雄だ。
●この暗黒の中国大陸では、能力や学問がどんなにあっても役に立たない。独裁政治に抗議する勇気を持ってこそ、英雄になれる。
●中国は人民のものだ!共産党は出ていけ!
しかしそれらは次々に削除されていき、中国大陸以外の海外の中文ネットが動き始めた。
たとえば「零点時刻」や「明鏡TV」あるいは「中国公民抵抗運動」などが、「墨かけ女子」事件とともに、その後の連鎖反応を報道している。
たとえば広東省の王文彬も7月6日に習近平の顔に泥を投げつけて拘束されている。北京市高級(上級)裁判所の門の壁には「腐敗」「暗黒」などの文字が墨で書かれ、看板はかけられた墨で文字が読めなくなっている。習近平の顔に牛の糞を投げつけた画像もある。
各地から撤去された習近平のポスターや肖像
この動きが拡散して民主化運動に発展するのを恐れたのだろう。当局は各地で習近平の写真やポスター、あるいは持ち運びできる大きさの肖像を撤去する命令を出し始めた。
たとえば北京市西城区にある不動産管理会社では、7月12日、「48時間以内に習近平の写真やポスター、肖像、記念品などを全て撤去して、業務完遂後、その結果を直ちに報告せよ」という特別通知を発布した。
また湖南省長沙市でも中国の指導者のポスターなどが撤去され、代わりに「社会主義的価値観」を表す「富強、民主、文明、自由、平等、公正・・・・・」などの文字が大きく掲げられたが、それらの文字にも、やはり墨がかけられている。
新華網が華国鋒元主席の「個人崇拝禁止」の記事を掲載
同時に中国政府の通信社である新華社の電子版「新華網」が「華国鋒はまちがいを認めた」という見出しで、1978年に当時の華国鋒主席が個人崇拝を戒めた記事を掲載した。それはすぐに削除されたが、大陸以外の中文メディアが、その痕跡を報道している。