「一帯一路」で押し寄せる中国貨物 欧州鉄道網がパンクの危機に
渋滞
渋滞は中欧班列のほぼ全体で起きているが、輸送業者の不満は、貨物の約9割を扱うマワシェビチェに集中している。
中国からカザフスタン、ロシア、ベラルーシを通って運ばれてきたコンテナは、ここでロシア軌間の貨車から、欧州標準軌間の貨車へと積み替えられる。
ここの物流拠点では、2017年は7万4000個近くのコンテナが処理された。2015年の4倍で、ポーランドの税務当局によると、昨年は4億ズウォティ(約118億円)の関税収入があった。
だが、中心的な物流ターミナルを運営する、ポーランド政府管轄下の鉄道輸送会社PKPカーゴは3月、今後も増加が予想される貨物量をさばくのは現行インフラでは無理だと表明。民間ターミナルを運営するユーロポートは、2017年末の時点で、ベラルーシからポーランドへの入国待ちの列車が最大で100本も連なっていたと明らかにした。
「これは大きな挑戦だが、同時に大きなチャンスでもある」と、PKPカーゴのWarsewicz最高経営責任者(CEO)は3月の時点で話していた。
PKPカーゴは、ロイターの取材に対し、現段階では入国待ちの行列はないとした上で、処理能力を拡大し、民間ターミナル運営業者と協力して積み替え時間の短縮に努めているとメールで回答した。
一方、ポーランド政府のインフラ担当部署は、ベラルーシとの間に2カ所目の検問所開設を検討しているとした。
しかし、運送業者は、整備のスピードが間に合わないのではないかと懸念している。
そしてそれは、マワシェビチェがあるテレスポルの町のイワニエク町長をはじめとした地元の人を心配させている。町や周辺地域は、鉄道輸送の増加の恩恵を受けている。
最近マワシェビチェを訪問したロイター記者は、鉄道ターミナルに積まれた中欧班列のロゴがついた紺色のコンテナや、新しい道路や地元政府の施設を見た。
イワニエク町長は、PKPカーゴの施設整備の規模が輸送量の増加に対応できず、他の輸送拠点に物流を奪われることを懸念している。
「われわれは、この歴史的なチャンスをものにするよう警告を発している。歴史の中の今の5分を使わなければ、すべて終わりだ」と、町長は言った。