「ショーンKに騙された、恥ずかしい日本人」『国体論』著者・白井聡インタビュー
――日本の野党はどうか。
民進党の解体は見苦しかった。自民党と根本的に対決しようとするのなら、真の争点になるのは「対米自立」のはずだ。彼らが日本共産党との共闘から逃げ出した、あるいは及び腰である理由は、煎じ詰めればこの問題なのだ。共産党こそ、対米自立を一貫して唱えてきた勢力だからだ。だから、共産党と本格的に連携するとこの課題に取り組まざるを得なくなるのであり、それが怖いから、クラゲのように浮遊する国民民主党が生まれた。
立憲民主党はと言えば、腹を決めるしかないのに、選挙では共産党の候補に推薦を出そうとしない。対米自立という野党共闘の真の意味を理解しているのは、共産党の志位和夫委員長と自由党の小沢一郎共同代表だけだ。
――結局、日本は対米従属を脱せるのか。それとも破綻に向かうのか。
破綻はこれから起こるのではなく、すでに起こっている。安倍政権が腐敗と失政にもかかわらず長期本格化している、つまりこんな政権が相対的にであれ国民から支持されているという事実は、まさにこの国の破綻を物語っている。国民、とりわけエリート層の立て直しにしか、本当の解決はないだろう。日本の対米従属はきわめて異様であるという認識が広がることが大事だ。
そのことに気づかされる機会には事欠かないのだ。例えば、ショーンKの経歴・学歴詐称事件。バタ臭い顔にハーバードのMBAという肩書をぶら下げていたわけだが、日本のテレビ局は、それにひれ伏すかのように事実を確かめることすらしなかった。日本人が彼に騙されたのは、現代日本が単に軍事的にアメリカに従属しているだけでなく、魂の次元で従属し、そのことを自覚すらできないような恥ずかしい在り方をしているからだ。
皆、対米従属を批判したらおこぼれにあずかれないと恐れているのかもしれない。けれども、『国体論』は売れており、印税も入って来る(笑)。私は「そんなことを言ったら干されるぞ」と言われそうなことを遠慮なく発言してきたが、それでも食っていけることを証明している。
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