最新記事

移民

トランプ「不法入国者は司法手続き経ず、即座に強制送還」

2018年6月25日(月)09時00分

6月24日、トランプ米大統領(写真)は、米国への不法入国者は司法手続きを通さずに即座に強制送還すべきだとツイートした。ラスベガスの集会で23日撮影(2018年 ロイター/Kevin Lamarque)

トランプ米大統領は24日、米国への不法入国者は司法手続きを通さずに即座に強制送還すべきだとツイートした。これについて法律専門家や人権保護団体は、米憲法の下での適正手続きの規定に違反することになると批判した。

トランプ大統領はツイッターに「これほど多くの人が米国を侵入するのを許すわけにはいかない。入国者は即座に、裁判官や裁判手続きを通さずに出身国に送りかえすべきだ」と投稿。「これほど多くの人たちが米国への侵入を試みるのを許すわけにはいけない。堅固な国境で犯罪阻止を!」と強調した。

トランプ大統領のツイートが、米当局が手続きを経ずに不法入国者の国外退去を命ずる「簡易送還手続き」の適用拡大を訴えているものなのかどうかは明らかではない。不法移民と難民申請者を区別してもいないとみられる。

ホワイトハウスに詳しい説明を要請したが、これまでのところ返答はない。

全米黒人地位向上協会(NAACP)の法的防御基金のトップ、シェリリン・アイフィル氏はツイッターで、「大統領はたった今、政治亡命者の保護の終了と移民に対する適正手続きの適用除外を強引に提案した」と批判。

米国自由人権協会(ACLU)移民人権プロジェクトの幹部、リー・ゲラーント氏はロイターに、「米政権が安易に移民に関する全ての手続きを撤回することは許されない。適正手続きの規定は完全に適用される。適用するかしないかを選択できるわけではない」と強調した。

簡易送還手続きの規定の下では、不法入国者が国境の160キロ圏内で捕らえられ、入国してから14日未満の場合、裁判所での審理を経ない即時の強制送還が可能となる。難民申請者に対しては審理を実施する必要がある。

米政府の移民政策を巡っては、不法移民の親子を引き離す措置について国内外から強い批判が出ており、トランプ大統領は20日、不法移民の家族を一緒に収容する大統領令に署名した。

[ワシントン 24日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250304issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年3月4日号(2月26日発売)は「破壊王マスク」特集。「政府効率化省」トップとして米政府機関をぶっ壊すイーロン・マスクは救世主か、破壊神か

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:米テキサス州はしかで死者、ワクチン懐疑派

ワールド

アングル:中国、消費拡大には構造改革が必須 全人代

ワールド

再送米ウクライナ首脳会談決裂、激しい口論 鉱物協定

ワールド

〔情報BOX〕米ウクライナ首脳衝突、欧州首脳らの反
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:破壊王マスク
特集:破壊王マスク
2025年3月 4日号(2/26発売)

「政府効率化省」トップとして米政府機関に大ナタ。イーロン・マスクは救世主か、破壊神か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 3
    イーロン・マスクのDOGEからグーグルやアマゾン出身のテック人材が流出、連名で抗議の辞職
  • 4
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 5
    米ロ連携の「ゼレンスキーおろし」をウクライナ議会…
  • 6
    ボブ・ディランは不潔で嫌な奴、シャラメの演技は笑…
  • 7
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 8
    日本の大学「中国人急増」の、日本人が知らない深刻…
  • 9
    【クイズ】アメリカで2番目に「人口が多い」都市はど…
  • 10
    「売れる車がない」日産は鴻海の傘下に? ホンダも今…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チームが発表【最新研究】
  • 3
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映像...嬉しそうな姿に感動する人が続出
  • 4
    富裕層を知り尽くした辞めゴールドマンが「避けたほ…
  • 5
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天…
  • 6
    イーロン・マスクのDOGEからグーグルやアマゾン出身…
  • 7
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 8
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 9
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 10
    東京の男子高校生と地方の女子の間のとてつもない教…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 5
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 6
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 7
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 8
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 9
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 10
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中