最新記事

米朝首脳会談

米朝会談、完全非核化と北朝鮮の安全保障で合意 北は拉致問題対応を示唆

2018年6月12日(火)19時20分

日本人拉致問題に言及も

トランプ大統領は記者会見で、北朝鮮の非核化を巡る交渉を促進するため、「非常に挑発的」で多額の費用がかかる米韓軍事演習を中止する意向を表明。「軍事演習は非常に高額だ。その大半をわれわれが負担している」と指摘した上で、「交渉中という状況の下で、軍事演習を行うのは不適切だと思う」と述べた。

また、日本人拉致問題については、北朝鮮が対応する方針を示唆したと語った。

今回の会談を受け、安倍晋三首相は同日、トランプ大統領のリーダーシップに敬意を表し、拉致問題を提起したことに「高く評価する」と感謝の意を表明。拉致問題の解決に向け日朝2国間の交渉に改めて強い意思を示した。

握手で友好ムード演出

今回初めて顔合わせした米朝首脳は、会談の冒頭に握手を交わし、笑顔を見せて終始友好的なムードを演出。

トランプ大統領が「素晴らしい関係を築く」と述べたのに対し、金委員長は「ここまで来るのは容易ではなかった。過去が足かせとなっていたが、われわれは全てを克服しここに来ることができた」と応じた。

また、金委員長は通訳を介してトランプ大統領に対し「世界中がこの瞬間を見ていると思う。多くの人はファンタジーやSF映画のシーンのように思うだろう」と語った。

両首脳は通訳だけを交えて40分ほどにわたって1対1の会談を行った。その後、他の高官らも同席する拡大会合に入った。拡大会合には、米国側からはポンペオ国務長官、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)、ケリー大統領首席補佐官が出席。北朝鮮からの出席者には、金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長、李容浩・外相、李洙ヨン党副委員長が含まれた。

両首脳が会談するのはこれが初めてであり、それぞれの名を歴史に刻む機会となった。

今回の会談で、実際に北朝鮮の核放棄につながる合意を結べれば、トランプ大統領にとって、歴代の米大統領が誰も成し遂げられなかった成功をつかむことになる。

一方、トランプ大統領の年齢の半分程度で、北朝鮮を支配する金一族3代目の指導者である金委員長は、米朝首脳会談により、父親と祖父が夢見ることしかできなかった国際的な正当性を手に入れる。北朝鮮は2006年に初めて核実験を実施。それから長年にわたり、自国のミサイル・核プログラムを巡り経済制裁に直面している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、中距離弾道ミサイル発射と米当局者 ウクライ

ワールド

南ア中銀、0.25%利下げ決定 世界経済厳しく見通

ワールド

米、ICCのイスラエル首相らへの逮捕状を「根本的に

ビジネス

ユーロ圏消費者信頼感指数、11月はマイナス13.7
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中