最新記事

米朝首脳会談

米朝会談、完全非核化と北朝鮮の安全保障で合意 北は拉致問題対応を示唆

2018年6月12日(火)19時20分

6月12日、トランプ米大統領は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談で「多くの進展」があったとの認識を示した。写真は両国が合意に署名する両首脳 Jonathan Ernst-REUTER

米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は12日、朝鮮半島の「完全な非核化」を目指すことで合意、米政府は北朝鮮に安全保障を提供することを確約した。

シンガポールで行われた史上初となる米朝首脳会議後に発表された共同声明では、「トランプ大統領は、北朝鮮への安全保障の提供を決意した。金正恩委員長は、朝鮮半島の完全な非核化への揺るぎない固い決意を再確認した」としている。

両国は今後も協議を継続するとしているが、具体的にどのように非核化を実現するのか、声明では詳細には触れていない。北朝鮮に対する制裁への言及や平和協定締結への言及もなかった。

トランプ大統領は「極めて迅速に」非核化のプロセスが始まるとの見方を示した。声明によると、ポンペオ米国務長官と北朝鮮当局者が「できる限り早期に」追加の交渉を行う予定。

トランプ大統領は会見で、非核化の過程は検証されると表明。検証作業には「北朝鮮で多くの人々が関わる」と述べた。大統領によると、金委員長は、北朝鮮がミサイル用の大規模なエンジン試験場を破壊していることも明らかにした。ただ、大統領は当面、北朝鮮に対する国際的な制裁が維持されるとの見通しを示した。

政治アナリストは、今回の米朝首脳会談について、象徴的な意味合いしかなく、具体的な成果はなかったと指摘している。

米シンクタンク「民主主義防衛財団」のシニアフェロー、アンソニー・ルジェロ氏は「さらなる交渉が、非核化という最終目標につながるかは不透明だ」と指摘した。

米朝の非核化の定義には大きな隔たりがある、と語るのはRBCキャピタル・マーケッツ(香港)のアジア為替戦略担当ヘッド、Sue Trinh氏。「米国にとっては、完全で検証可能かつ不可逆的な非核化を意味する。金委員長にとっては、経済支援やアジアでの米国のプレゼンス低下と引き換えに核・ミサイル実験を停止することを意味する。金委員長は、既存の核兵器を廃棄する意思を全く示していない」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 9
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中