「反共」から「統一」まで 韓国とハリウッドが描いた北朝鮮とは?
反共映画から統一映画へ
さて、韓国国内のアンチ統一作品はどうだろう。冒頭で「統一映画」というジャンルを紹介したが、反対に共産主義の残酷さと暴力的なイメージを宣伝する為に作られた映画のことを「反共映画」と呼ぶ。韓国のアカデミー賞とも称される「大鐘賞映画祭」では、1966年から1987年までの21年間「反共映画部門」が存在したほどだった。80年代までは政府の支援で制作された反共映画も多かった。
しかし90年代からは一変し、南北関係を自由に描く映画が登場するようになった。特に、1999年の「シュリ」は、北朝鮮の工作員を魅力的に描き興行的にも大成功を収めた。2010年前後からは「ガンチョプ(간첩=間諜)」と呼ばれるスパイブームが巻き起こり、北朝鮮のスパイが登場する映画が毎月のように公開された。
毎年必ず作成され続けている統一映画。唯一の分断国家でありやはり韓国でしか作れないという題材は魅力的だ。公開されるとヒット作になる事が多い。また、サポートする体制もできている。以前は反共映画に支援があったが、現在では逆に統一映画を支援する取り組みが行われているのである。
その名も「統一映画制作支援」という短編映画を中心とした映画制作基金だ。2017年度は、なんと108作もの作品が応募された。優秀作品2作には製作費援助として3千万ウォンと、撮影後の編集等の作業を無料でできる助成が与えられる。既に完成している作品についても、上映会の資金として3百万ウォンが支給される。この賞は韓国統一部が主催し、映画振興委員会(KOFIC)が支援を行っている。
また、釜山国際映画祭のイ・ヨングァン理事長は、先月の南北会談後「南北関係が良くなるのなら、釜山映画祭で北朝鮮映画を上映したり、映画関係者を招待することもできる」とし、「我々はいつでも(北朝鮮映画と映画人たちを)お迎えする準備ができている」と、熱いラブコールを送った。
3月末には、K-POPアイドルグループら韓国の歌手たちが平壌で金正恩委員長らの前で公演を行った。音楽に続いて映画でも南北が手を携える日はくるのか? 芸術に国境はないという言葉を信じつつ、今後の南北の動きを見守りたい。
*一部情報を修正いたしました(2019年7月30日)
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