欧州リーダーは欧州企業と核合意のピンチを救えるか
それでも今回の欧州委員会の動きには、アメリカを牽制し譲歩を引き出す効果が期待されている。ブロッキング規則は、米政府がキューバなどとビジネスを行う企業への制裁措置を打ち出した際に、対抗措置として制定された。そのときは米欧の協議がまとまり、米政府はヨーロッパ企業への制裁を積極的に実施しないことになった。
トランプは4月、イランなどへの製品輸出を理由に中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)に制裁を科したが、中国の習近平(シー・チンピン)国家主席との協議を経て制裁緩和を示唆し始めた。ヨーロッパは、強い姿勢で臨めば譲歩を勝ち取れるのではないかと考えたのかもしれない。
核合意を維持できるかは分からないが、ヨーロッパの首脳たちがアメリカの制裁からイラン経済を守る意思を鮮明にしているのは異例のことだ。そうした姿勢には、トランプ政権への激しいいら立ちが見て取れる。
From Project Syndicate
<本誌2018年5月29日号掲載>
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