統一は「かなわぬ夢」? 南北朝鮮がドイツになれない理由
4月25日、南北統一は解決策なのか、あるいはそれこそが問題なのか──。北朝鮮と韓国の最近の緊張緩和によって、1950年代から分断している南北の統一に新たな可能性が浮上している。写真は南北首脳会談を控え、ソウル市役所に掲げられたバナー(2018年 ロイター/Jorge Silva)
南北統一は解決策なのか、あるいはそれこそが問題なのか──。北朝鮮と韓国の最近の緊張緩和によって、1950年代から分断している南北の統一に新たな可能性が浮上している。
統一という言葉は、東西ドイツを隔てるベルリンの壁が崩壊して家族が再会し、軍が武装解除したときのことを思い起こさせる。
韓国と北朝鮮は平和的な統一を繰り返し訴え、韓国で開催された平昌冬季五輪では統一旗を掲げて共に入場行進を行った。また最近にK─POP歌手らの一行が北朝鮮を訪問した際、彼らは北朝鮮人と手をつなぎ、「われらの願いは統一」を歌った。
だが70年にわたり緊張状態が続く朝鮮半島において、「統一」の理念ははますます複雑さを増し、非現実的だと考えられるようになった。両国の格差がかつてないほど広がる中、少なくとも韓国ではそのように捉えられていると、専門家や当局者は言う。
韓国はテクノロジーが発達し、民主主義の下で活気に満ちた主要経済大国となった。一方、北朝鮮は金一族の支配下にあり、個人の自由がほとんどない、貧しく孤立した国である。
1990年に再統一した東西ドイツとは異なり、朝鮮半島の分断はいまだ解決されていない同胞同士の内戦に基づいている。韓国と北朝鮮は朝鮮戦争を終結するための平和条約に署名しておらず、お互いをまだ正式に認めていない。
それ故、27日の南北首脳会談では、平和と核武装解除が韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の最優先事項になると、大統領府の文正仁(ムン・ジョンイン)統一外交安保特別補佐官は説明。統一は2000年と2007年の過去2回の首脳会談において主な議題だったが、今回はそれほど時間がさかれることはないとの見通しを示した。
「平和が実現しなければ、統一もない」と、同補佐官はロイターに語った。
過去には、北朝鮮の独裁政権が崩壊し、韓国に吸収されるという前提に基づいた統一計画を描く韓国の指導者もいた。しかしリベラルな文政権はそうしたアプローチを和らげ、最終的に統一へとつながるであろう和解と平和的共存を強調していると、現旧当局者は語る。