最新記事

日本社会

専業主婦を産み続ける「高度成長期の影」 日本はいつまで「専業主婦前提」OSを使うのか

2018年5月22日(火)20時40分
中野 円佳(ジャーナリスト)※東洋経済オンラインより転載

家にいると子どもたちがヒマを持て余すので、平日の夕方に習い事を入れたりするケースも見かける。が、そうすると送迎、練習・宿題をさせるなどの付帯業務が発生する。友だちの誰ちゃんのうちで遊ぶ、あるいは誰くんがうちに来る、という予定も日々入ってきて、毎日がしっちゃかめっちゃか。

忙しいから働けない

子どもがいない場合や、夫の育児参加が見込める場合、一番下の子が幼稚園に行き始める年齢になれば、1日のタイムラインはだいぶ違ってくるだろう。会社と保育園を行き来して両立に息つく間もないワーキングペアレンツに比べれば相対的には忙しくはないとは思う。

だが、それなりに忙しい。そして、疲れる。幼稚園の行事のための手作り準備など突然降りかかる作業もばかにならない。手作りにこだわった料理、子どもの教育などに力を入れようとすれば、ほとんど自分の時間はない。

もちろん好きずきや、向き不向きがあるから、楽しくやっている人もいるだろう。子どもの性格などによってもだいぶ変わってくる。うまく手を抜ける人もいるだろう。でも、専業主婦が「結構忙しい」ことには変わりはない。

この忙しさが前提になってしまうと、「本当は働いたほうがいいと思っている」場合ですら、彼女たちはなかなかもう一度働き始める踏ん切りがつかない。今現状、ただでさえ慌ただしいのに、他のことが入ってくるなんて考えられない。具体的に言うと、たとえばこういったことだ。


  • 3歳児未満の子は基本的に(必死で保活をしないと)預ける場所がない。
  • 3歳児以上になってからは(預かり保育などを探さない限り)幼稚園のお迎えに間に合う時間の仕事しかできない。そういう仕事を見つけるのが大変だし、大した金額にならない。
  • 3年以上も仕事を離れているブランクがあったら社会人として不安。
  • 2人目3人目の出産、そして夫の転勤があればまた働けなくなってしまう。
  • 小学校に入ってからも宿題とか見ないといけないし......。夫には「働いてもいいけど、家のことがおろそかになるのはやめてね」と言われる......。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ハイテク業界団体、AI向け半導体の輸出制限規制の

ビジネス

日経平均は反落で寄り付く、米利下げペース鈍化の思惑

ワールド

ガザ攻撃完全終結要求を堅持、人質解放巡る取り決めで

ビジネス

米債務上限問題、早期解決の可能性低いとフィッチ 年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国の宇宙軍拡
特集:中国の宇宙軍拡
2025年1月14日号(1/ 7発売)

軍事・民間で宇宙覇権を狙う習近平政権。その静かな第一歩が南米チリから始まった

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流行の懸念
  • 2
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵の遺族を待つ運命とは? 手当を受け取るには「秘密保持」が絶対
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」
  • 4
    仮想通貨が「人類の繁栄と自由のカギ」だというペテ…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    真の敵は中国──帝政ロシアの過ちに学ばない愚かさ
  • 8
    レザーパンツで「女性特有の感染症リスク」が増加...…
  • 9
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 10
    ウクライナの「禁じ手」の行方は?
  • 1
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流行の懸念
  • 2
    真の敵は中国──帝政ロシアの過ちに学ばない愚かさ
  • 3
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵の遺族を待つ運命とは? 手当を受け取るには「秘密保持」が絶対
  • 4
    早稲田の卒業生はなぜ母校が「難関校」になることを…
  • 5
    ザポリージャ州の「ロシア軍司令部」にHIMARS攻撃...…
  • 6
    地下鉄で火をつけられた女性を、焼け死ぬまで「誰も…
  • 7
    カヤックの下にうごめく「謎の影」...釣り人を恐怖に…
  • 8
    青学大・原監督と予選落ち大学の選手たちが見せた奇跡…
  • 9
    「日本製鉄のUSスチール買収は脱炭素に逆行」買収阻…
  • 10
    「これが育児のリアル」疲労困憊の新米ママが見せた…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 3
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 4
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 5
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 8
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 9
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 10
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中