新型モデル投入ラッシュのSUV 供給過剰でマーケットに異変も
3月29日、スポーツタイプ多目的の需要は米国で拡大を続けている。写真は27日、ニューヨーク自動車ショーで発表されたキャデラックのSUV「XT4」(2018年 ロイター/Amir Levy)
スポーツタイプ多目的車(SUV)の需要は米国で拡大を続けている。しかし各メーカーの新型車投入ペースはそれをしのぐ速さとなっているため、せっかくこれまで享受してきた大きな利幅が削られていく恐れがある。
今週開催されたニューヨーク国際自動車ショーでは、各メーカーが新しいSUVを披露。トヨタ自動車<7203.T>は主力SUV「RAV4」をアピールし、高級車ブランドのキャデラックやリンカーンのほか、かつては別格扱いだったフィアット・クライスラー・オートモービルのマセラティ部門までもが新SUVの売り込み合戦に参入している。
米ゼネラル・モーターズ(GM)のキャデラック部門責任者、ヨハン・ダネイシン氏はSUV市場について「旺盛な需要があり、皆が同じ夢を見ている」と述べた。ダネイシン氏はキャデラックが投入する新型SUV「XT4」を紹介しながら「誰もがこの分野に魅力的な新型車とともに入り込もうとしており、勝者と敗者が出るのは明白だ。当社はもちろん、勝者になることを目指す」と主張した。
自動車コンサルティング会社LMCオートモーティブによると、2023年までに米国市場ではSUVとクロスオーバー車の標準モデルと高級モデルがいずれも90種類になる見通し。17年はそれぞれ65種類と53種類だった。
17年の米国市場でのSUVやクロスオーバー車の標準モデルと高級モデルの販売台数は10年から倍増し、ともに5─7%ずつ伸びた。一方で、全体の販売台数は2%減だった。
高級車のBMWやメルセデスベンツ、フォルクスワーゲン(VW)のアウディは、米国内のSUV工場で生産能力を拡張している。
ただLMCは、新型車の投入が増加する勢いだとしてもSUVなどの販売台数は今年から25年まで毎年、鈍化するとみている。また今後数年のうちには、年式が比較的新しいSUVがリース契約解除によって市場に戻ってくるため、新型車との販売競争が始まる。