最新記事

自動車

新型モデル投入ラッシュのSUV 供給過剰でマーケットに異変も

2018年4月1日(日)13時33分

自動車調査会社ケリー・ブルー・ブック(KBB)の幹部カール・ブラウワー氏は「リース契約が終わったSUVが増えれば、新車の価格設定にはさらに下落圧力が加わりそうだ」と指摘した。

予測調査会社オートフォーキャスト・ソリューションズのサム・フィオラーニ副社長は、もう少し楽観的。乗用車に対する消費者のニーズは細分化しており、SUVやクロスオーバー車市場が成長を続ければサイズ別や限定車、スポーティーなタイプなどを細かい区分で展開する余地が出てくるためだ。副社長は「市場はまだ飽和状態ではなく、満たされていないニッチなニーズはある。飽和状態になることを考え始めるのさえあと5─10年かかりそうだ」と述べた。

メーカー各社も、新モデルがひしめく中でも差別化はできるとの立場を維持している。

フォード・モーターのリンカーン部門責任者、ジョイ・ファロティコ氏は「新規参入も多いが、当社ブランドは他とは全く異なる見た目で違いを打ち出せる」と自信を見せる。同社は19年に中型の新SUV「アビエーター」を展開する予定で、競合他社では自己主張の強いモデルが多い中、「美しさと物静かさ」を感じさせるデザインだという。

だが、KBBのブラウワー氏は「車種が増えればそれぞれの販売台数が減るのは明白なのは簡単な計算で分かる。多くの車種が全て売り上げを伸ばすのは無理で、どれかは(シェアを)差し出さざるを得なくなる」と厳しい見方を示す。

ブラウワー氏が注目するのは、SUVやクロスオーバー車の平均価格。KBBによると、1台当たりの平均価格は17年が3万5991ドルで、前年比0.5%低下した。

成長の減速がみられる市場で競争が激化する中、メーカーは値下げで販売数量を稼ぎ出すことを迫られ、必然的に利益率が圧縮される結果となる。

ブラウワー氏は「3年前と同じ利益が出せるとは思わないほうがいい」と警告した。

(Nick Carey記者)

[ニューヨーク 29日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

アングル:日本の不動産は「まだ安い」、脱ゼロインフ

ビジネス

米モルガンSが日本特化型不動産ファンド、1000億

ワールド

中国格付け、公的債務急増見込みで「A」に引き下げ=

ビジネス

トランプ氏、対中関税軽減も TikTok売却承認な
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡眠の「正しい関係」【最新研究】
  • 2
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 3
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のために持ち込んだ?
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    得意げに発表した相互関税はトランプのオウンゴール…
  • 6
    「ネイティブ並み」は目指す必要なし? グローバル…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    アメリカから言論の自由が消える...トランプ「思想狩…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 9
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中