一国二制度「連邦制統一国家」朝鮮?──半島問題は朝鮮民族が解決する
3.第3回統一案:1980年10月
1980年10月に開催された第6回朝鮮労働党大会において、「高麗連邦制案」を提案した。これは韓国の朴槿恵(パク・クネ)前大統領の父親である朴正熙(パク・チョンヒ)大統領が1979年10月に暗殺されたことがきっかけとなっている。この時期の韓国の混乱を利用して、北朝鮮は「高麗民主連邦共和国」の建国を提案した。
以上のどの場合においても、韓国側もまた別途、統一方案を提起している。
4.1987年に提案されていた機密文書
3月30日付のコラム「中朝首脳会談から見る非核化問題――機密解除された外交文書から」で触れたように、1987年12月にワシントンのホワイトハウスで開かれた米ソ首脳会談の際、当時のソ連のゴルバチョフ書記長が北朝鮮の依頼を受けてレーガン米大統領に文書を渡していた。そこに描かれているのは、「中立」を軸に据えた連邦制統一方案だ。つまり、「南北が第三国と締結した民族の団結に反するあらゆる協定・条約を破棄する」ことが書かれており、これらから、北朝鮮が言うところの「朝鮮半島の非核化」は「米中両大国からの中立」を意味していることになる。
中国はどう見ているのか
問題は中国は、この「一国二制度」的な「連邦制統一国家構想」をどう見ているかである。
まずメリット。
言うまでもなく在韓米軍が撤退せざるを得なくなるので、そこは大歓迎だ。付設しているレーダーが中国の東北一帯の軍備配置を一望できるTHAAD(サード)の韓国配備もなくなる。大いに結構だと思うだろう。
もう一つ中国にとってのメリットは、朝鮮半島から「核」がなくなれば、中国の北からの核ミサイル脅威は完全に消えるだけでなく、アメリカが明確にはしていない(撤退させたと言っている)韓国にあるかもしれない核兵器に対しても警戒しなくて済むようになる。
南北朝鮮との経済交流も何ら制限を受けることがないようになれば、中国にとって、こんなありがたいことはない。北朝鮮に眠る豊富なレアメタルなどの地下資源、それから中国の東北一帯の改革開放を滞らせてしまった「海への連結」も、北朝鮮の港を使うことにより改善される。
ともかくアメリカによる北朝鮮への先制攻撃が無くなれば、中国は戦争に巻き込まれなくてすむので、一党支配体制維持には好都合だ。
だから朝鮮半島に「異なる政治体制を併存させたままの一国二制度的な、朝鮮族による統一国家ができること」には賛成ではある。