わざわざ「ガールズグループ」に会いに行った金正恩氏の危険な試み
韓国の有名歌手らと記念写真に収まった金正恩夫妻 KCNA/Reuters
<韓国の人気歌手総出の平壌公演を夫人とともに楽しんだ金正恩。「退廃的で色情的かつ醜悪な内容」を取り締まる北朝鮮刑法に縛られている若者たちの怨嗟の声が>
北朝鮮の金正恩党委員長が1日夜、李雪主(リ・ソルチュ)夫人と共に、平壌市内で開かれた韓国芸術団の公演を鑑賞したと伝えた。北朝鮮の最高指導者が韓国芸術団の公演を鑑賞するのは、これが初めてだ。
約2時間10分にわたって行われた公演には、韓国の国民的歌手であるチョー・ヨンピルさんをはじめ、ガールズグループのRed Velvet(レッドベルベット)、チェ・ジニさん、イ・ソニさん、ユン・ドヒョンさん、ペク・チヨンさん、Ali(アリ)さん、ジョンインさん、カン・サネさん、少女時代のソヒョンさん、ピアニストのキム・グァンミンさんら11組が出演した。
若者たちの悲惨な運命
芸術団に遂行した韓国メディア共同取材団の報道によれば、金正恩氏は同日、公演出演陣に対して「私がレッドベルベットを見に来るかどうかに関心が多かったようだが、もともと明後日(3日夜の公演)に来る予定だったものを、日程を調整して今日来た」と語ったという。
(参考記事: >【画像】韓流アイドルたちに会いに行った金正恩氏)
たしかに、金正恩氏が韓流アイドルであるレッド・ベルベッドを見に行くかどうかは、関心の的となっていた。ただし、その理由はミーハー的な関心からばかりではない。
北朝鮮は刑法で、「退廃的な文化の搬入・流布罪」(183条)および「退廃的な行為を行った罪」(184条)なるものが定められている。いずれも「退廃的で色情的かつ醜悪な内容を反映した絵、写真、図書、歌、映画など」を取り締まりの対象としたもので、これらを外国から持ち込んだり、制作したり、あるいは観たり聞いたりした場合、最高で10年以下の労働鍛練刑(懲役)に処すとする内容だ。
そして、この法律がターゲットとしているものの筆頭が、ほかならぬ韓流コンテンツなのだ。実際、この法律に違反したと見なされたことで、悲惨な運命を辿ることになった北朝鮮国民は100人や200人ではない。
(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは...)
北朝鮮当局がとくに目の敵にしているのは韓流ドラマ・映画のようだが、音楽ももちろん、取り締まりの対象になっている。