最新記事

北朝鮮

中国で神妙だった金正恩氏、帰国して「偉そうな態度」が復活

2018年4月23日(月)19時20分
高英起(デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト) ※デイリーNKジャパンより転載

中国共産党の宋濤対外連絡部長(左)と会談した金正恩(4月17日、平壌) KCNA/Reuters

<中国を電撃訪問して習近平と会談したときは借りてきた猫のようだった金正恩が今は......>

北朝鮮の金正恩党委員長は3月26日、中国の習近平国家主席と会談した。翌日、中国中央電視台(CCTV)がその映像を放映した。映像からは、これまで見られなかった金正恩氏の仕草や表情を見ることができる。

(参考記事:【動画】習近平氏の前で大人しい金正恩氏

椅子に深々と座って始終余裕の表情を見せる習近平氏に対して、金正恩氏は前屈みになり、神妙な表情で話を聞く。時折見せる笑顔もかなり強ばっており、緊張しているのかしきりに瞬きする様子が捉えられている。

金正恩氏にとっては初の首脳会談。それも大国である中国との会談だけに、相当なプレッシャーを受けていただろうことは想像に難くない。

電撃的な訪中だったにもかかわらず、金正恩氏が普段から乗り慣れている専用ベンツをもちこんだのも、なるべく金正恩氏が受けるプレッシャーと精神的ストレスを少しでも和らげるためかもしれない。金正恩氏は一般人と同じトイレを使えないことから、中国に持ち込んだ専用ベンツには、代用品が積まれていると言われているぐらいだ。

(参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳)

会談の動画で最も筆者が注目したのは、金正恩氏が習近平氏の話を目の前に置かれたノートに懸命にメモ書きする様子が見られたことだ。

怒鳴り散らされて縮み上がる幹部たち

金正恩氏が現地指導する際、幹部達が一歩下がったポジションで必死にメモ書きするのは、もはやおなじみの光景である。最高指導者の言葉は一言一句書き記さなければならないという不文律でもあるかのようだ。

メモ書きどころか、スッポン工場を現地指導した際には、管理不届きに激怒し、辺り構わず怒鳴り散らしていると思われる姿が捉えられている。ちなみに、この様子は朝鮮中央テレビでも放映した。激怒する金正恩氏を見た幹部達が身震いしたことだろう。

そんな傲岸不遜な態度を貫く金正恩氏だが、さすがに習近平氏の前では大人しくせざるをえなかっただろう。もちろん、金正恩氏がまだ34歳という若さであることを考えると、習近平氏の前で神妙な態度を取るのも理解できなくはない。むしろ初の外遊、初の首脳会談で、少しは世間の荒波に触れて勉強にはなったのか――と思いきや、必ずしもそうではなさそうだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プラスチック条約、最後の政府間議始まる 米の姿勢変

ビジネス

米財務長官指名のベッセント氏、減税と関税が優先事項

ワールド

新たな貿易戦争なら欧米双方に打撃、独連銀総裁が米関

ワールド

スペイン・バルセロナで再び抗議デモ、家賃引き下げと
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 10
    「典型的なママ脳だね」 ズボンを穿き忘れたまま外出…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    2人きりの部屋で「あそこに怖い男の子がいる」と訴え…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中