「バイアグラが大腸がんのリスクを軽減する」という研究結果
その結果、腫瘍性ポリープの数が67%減少し、バイアグラよりも腫瘍性ポリープの減少効果が高いことがわかった。ただし、低用量の使用においては副作用が認められていないバイアグラに比べて、リナクロチドには下痢などの副作用がある。そのため、ブラウニング博士は、大腸がんのリスクを軽減するためであっても、リナクロチドは長期使用しづらいとみている。
研究プロジェクトでは、今後、「環状グアノシン一リン酸」が腸内層にどのような影響をもたらしているのか、さらなる解明をすすめるとともに、大腸がんのリスクが高いと考えられる患者への治療薬として、臨床実験にも着手する方針だ。
日本の罹患率は10万人あたり32.2人
世界がん研究基金(WCRF)によると、大腸がんは3番目に多いがんといわれ、とりわけ、日本の罹患率は10万人あたり32.2人で、世界で20番目に多い割合を記録している。バイアグラに潜んでいた意外な効果が大腸がんの治療に役立てられ、多くの人々の生命を救う余地は大いにありそうだ。