遺伝子改変ブタでヒトの臓器を提供
PERVのない「遺伝子組み換えブタ」は膵臓や肝臓などの固形臓器に加え、ランゲルハンス島の供給源になるかもしれない。ランゲルハンス島は膵臓内に散在する細胞群で、インスリンを分泌する。糖尿病治療法としてのブタのランゲルハンス島移植に焦点を当てた予備的研究の成功例も既にいくつかある。
数年後には異種移植の臨床試験が始まると、米移植外科学会の次期会長でもあるウィスコンシン大学付属病院のディクソン・カウフマン医師は言う。「PERVの感染リスクを排除するなど、安全性が高まれば実現に近づく」
最初に移植される可能性が高いブタの固形臓器は腎臓と膵臓だと、カウフマンはみている。どちらも移植がうまくいかなくても患者が死ぬ危険は必ずしも大きくない。
生きているうちに移植が間に合いそうにないと患者に告げなければならない外科医にとって、テクノロジーの進化は朗報だ。患者の大半は異種移植を受け入れるはずだと、カウフマンは予想する。ブタの内臓を拒めば、確実に死が待っているのだから。
<本誌2018年3月6日号「特集:禁断の医療」から転載>
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