トランプ、鉄鋼に25%・アルミに10%の関税導入 来週発表
3月1日、トランプ米大統領は鉄鋼輸入品に対し25%、アルミニウム製品には10%の関税を課す方針を来週発表すると明らかにした。写真はホワイトハウスで同日撮影(2018年 ロイター/Kevin Lamarque)
トランプ米大統領は1日、鉄鋼輸入品に対し25%、アルミニウム製品には10%の関税を課す方針を来週発表することを明らかにした。中国、欧州、カナダなど主要貿易相手国が報復措置に出る恐れや、国内株式相場が大幅安となる可能性がある。
トランプ大統領は来週に正式発表すると述べたが、ホワイトハウスの当局者はその後、一部の詳細については調整が必要だとの見方を示した。
大統領は関税により国内雇用が保護されると考えており、「鉄鋼とアルミニウム産業をわが国の手に取り戻すだろう」と述べた。だがエコノミストの多くは、自動車や石油産業など鉄鋼やアルミニウムの消費者が価格上昇の影響を受け、雇用はかえって減るとみている。
関税に関する報道で、国内の鉄鋼やアルミ生産業者の株価は上昇した。ただ、価格上昇への懸念が投資家心理を冷やした。
ある関係筋によると、ホワイトハウスで夜に行われた議論は、政権内で見解が目まぐるしく変わり「大混乱」していたもようだ。
共和党議員だけでなく、投入原価の上昇が見込まれる自動車や石油産業からも強い批判が出ている。大きな懸念は、鉄鋼輸出国からの報復により米国の農産物輸出が大打撃を受ける恐れがあることだ。
上院農業委員長を務めるパット・ロバーツ議員は「関税を課すたびに報復はある。農産物は最優先ターゲットであり、農業経済にとってはひどい逆効果につながる」と話した。
中国は既に米国産大豆の輸入を減らすと示唆しており、欧州連合(EU)も同様の措置を検討中。中国からは通商問題に関する協議のため、経済顧問である劉鶴氏がワシントンを訪れている。
今回の措置で中国が直接打撃を受ける見通しは小さい。米国の鉄鋼需要に対してはカナダが16%を供給している一方、中国の比率は2%に過ぎず、世界最大級の輸出国であるブラジルや韓国にははるかに及ばないからだ。
カナダのフリーランド国際貿易相は発表文で「カナダ産の鉄鋼やアルミ製品に制限がかかるならば、カナダは貿易における利益と労働者を守るため対抗措置を取らねばならなくなるだろう」と強いトーンで表明した。
ブラジルの産業省は、独自もしくは他国と連携した措置を検討すると明らかにした。大手鉄鋼会社であるナショナル製鉄(CSN)とウジミナスの株式は売られ、それぞれ4.4%安、4.2%安となった。
米政府は北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉でカナダやメキシコと既に協議中。数カ月経った今も有意義な進展はみられない。ホワイトハウスのサンダース報道官は、関税免除となる国はあるかとの質問に対し、来週の正式発表まで詳細には触れないと述べた。