トランプ、鉄鋼に25%・アルミに10%の関税導入 来週発表
米政権は、今回の措置には安全保障上の利点もあると主張。米国は戦車や軍艦製造のため国内で鉄鋼生産が必要だとした。ただ国防総省は、商務省が提言した鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を支持する立場を示した上で、全ての国を対象とした輸入量割当や関税より的を絞った関税制度の方が好ましいと22日に指摘していた。
中国産鉄鋼は米輸入量の2%にとどまるものの、その大幅な産業拡大は鉄鋼の世界的な供給過剰と価格下落につながっている。
米経済学会(AEA)によると、国内鉄鋼メーカーでは1962―2005年の間に雇用の4分の3が失われた。この多くが、生産技術の向上や労働者1人当たりの生産が5倍に増加したことによるものだった。
独立系エコノミスト団体の「エコノファクト」が前週公表した調査は「このように、貿易保護により国内生産が増加しても、雇用の増加は、多くの人の期待をはるかに下回るかもしれない」としている。
英バークレイズの試算では、今回の関税措置により、ある程度長期にわたってコアインフレは0.1%ポイント加速し、経済成長は0.1―0.2%ポイント鈍化する見込み。トランプ大統領の財政刺激策による効果を相殺する可能性があるという。
トランプ大統領は鉄鋼・アルミ大手幹部らとの会合後、米国の鉄鋼・アルミ業界が数十年にわたる不公正な貿易に苦しんできたとし、同業界の立て直しに向けた意欲を表明した。
これに先立ち、大統領はツイッターで「自由かつ公正、如才のない取引」が米鉄鋼・アルミ会社に必要とつぶやいていた。
米国の関税導入の決定によって、米中間の緊張が高まる公算が大きい。ワシントンでは同日、米中貿易協議が開催される。
オックスフォード・エコノミクス(ニューヨーク)の米マクロ経済部門トップ、グレゴリー・ダコ氏は「生産者価格や消費者物価が上昇するだろう。関税対象国の報復につながる可能性があり、世界貿易機関(WTO)に申し立てるか、米国からの一部財・サービスに関税を課す公算もある」と指摘する。
「次の問題は米国が報復措置をとるかだ。現時点で今回表明した方針を撤回することにはならないだろう。仮に一部の国が強く反発するなどすれば、トランプ氏は関税を撤回するか、WTOが関税に否定的な決定を下す可能性も考えられる」と話した。
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