最新記事

アルコール

スコッチウイスキー、ブレグジットで「うまみ」増すか?

2018年2月27日(火)18時20分

2月21日、スコッチウイスキーのメーカーは、英国内で最も強硬に欧州連合(EU)残留を主張した業界の1つだ。写真はフォルカークのローズバンク蒸留所。2018年1月撮影(2018年 ロイター/Russell Cheyne)

スコッチウイスキーのメーカーは、英国内で最も強硬に欧州連合(EU)残留を主張した業界の1つだ。だがもし離脱しかないのなら、完全離脱の方が望ましいと主張している。

すでに輸送やロジスティクス面での対応準備に追われている同業界としては、英国が世界最大の貿易圏であるEUを離脱しても、EU規制に発言権を持ちつつ2国間貿易協定を交渉する権利も得られるならば、EU単一市場と関税同盟に喜んで残るという。

もしそれがかなわないなら、何の合意もなく離脱して世界貿易機構(WTO)のルールに従った方が良いと、スコッチウイスキー協会(SWA)のカレン・ベッツ会長は言う。WTOのルールによると、スコットランドからEUへの輸出関税はゼロになる。

「よく考えてみれば、単一市場に残ってEUの規制に縛られつつも発言力はないという状態は、リスクが大きい」と、ベッツ氏は言う。ただ、英国とEUとの交渉が続く間は、柔軟な考え方を続けるつもりだと付け加えた。

業界の姿勢には重みがある。スコッチウイスキーの輸出は、2017年は43億6000万ポンド(約6500億円)と、英国の全食品と飲料品輸出額の5分の1以上を占める。また、4万人の雇用を抱えている。

同業界の立場は、ある意味ユニークだ。

WTOの関税は有利になる。同関税は、ほぼ全てのスピリッツが対象だ。

一方、スコッチウイスキーのサプライチェーンはほぼ英国内で完結しているものの、生産量の9割は輸出されている。ブレグジット(EU離脱)決定後のポンド安は、大きな恩恵となった。

スコットランド外での製造を認めない英国法に守られたスコッチウイスキーは、蒸留酒大手の英ディアジオや仏ペルノ・リカールなどの多国籍企業が幅を利かせており、過去数百年間輸出されてきた。蒸留所は国境を越えた取引に精通しており、ロジスティクス的な問題やコストを吸収できる。

いま業界が求めているのは、英国のEU離脱の条件と、準備にどれほどの時間があるかが明確にされることだ。

「手元に配られたカードで対応するが、そのカードが何かを知りたい」と、ベッツ氏は言う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB、米関税による経済や物価影響を議論 3月理事

ビジネス

ステランティス、米工場で900人一時解雇へ 関税発

ビジネス

米貿易赤字、2月は6.1%縮小 前倒し購入で輸入は

ビジネス

米新規失業保険申請6000件減の21.9万件、労働
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡眠の「正しい関係」【最新研究】
  • 2
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のために持ち込んだ?
  • 3
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    得意げに発表した相互関税はトランプのオウンゴール…
  • 6
    「ネイティブ並み」は目指す必要なし? グローバル…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中