最新記事

シリア情勢

シリアで今度はトルコ軍が化学兵器攻撃か?

2018年2月20日(火)19時00分
青山弘之(東京外国語大学教授)

市民ジャーナリストを名乗るムハンマド・ハサンのツイッターより MHJournalist-twitter

<シリア北部のアレッポ県でトルコ軍が、塩素ガスを使用したとの疑惑がおきている。相次ぐ化学兵器攻撃。その「効果」とは>

ハーワール通信(ANHA)シリア・アラブ通信(SANA)スプートニク・ニュースなどは16日、トルコ軍が、塩素ガスと思われる有毒ガスを装填した砲弾で、シリア北部のアレッポ県アフリーン郡シャイフ・ハディード区マズィーナ村を砲撃、民間人6人が呼吸困難などの症状を訴えて、アフリーン市内の病院に搬送されたと伝えた。

aoyama1.jpg

ANHA, February 16, 2018

aoyama2.jpg

SANA, February 16, 2018

ANHAは、クルド民族主義組織の民主統一党(PYD)が主導するロジャヴァ(西クルディスタン移行期民政局/北シリア民主連邦)のマウスピースとでも言うべき通信社、そしてSANAはバッシャール・アサド政権下のシリアの国営通信社だ。

市民ジャーナリスト、西側メディアも報道

この攻撃に関して、市民ジャーナリストを名乗るムハンマド・ハサン(Mohammed Hassan)はツイッターを通じて、被害を受けたとされる住民の写真や映像を公開した。

aoyama3.jpg

またロイター通信も17日、ロジャヴァ傘下の人民防衛部隊(YPG)のビルースク・ハサカ報道官の話として、トルコ軍が有毒ガスを使用したと伝え、英国で活動する反体制系NGOシリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表も、フランス通信社(AFP)に対し「トルコ、ないしは同国と連携する反体制派が砲撃した」と明言した。

なお、シャイフ・ハディード区マズィーナ村は、ロジャヴァ(クルド語)ではシーヤ郡アルナダ村と呼ばれている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ発表 初の実戦使用

ワールド

国際刑事裁判所、イスラエル首相らに逮捕状 戦争犯罪

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家、9時〜23時勤務を当然と語り批判殺到
  • 4
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    クリミアでロシア黒海艦隊の司令官が「爆殺」、運転…
  • 8
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 9
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 10
    70代は「老いと闘う時期」、80代は「老いを受け入れ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中