「逆にいやらしい」忖度しすぎなインドネシアの放送規制
SOUTH CHINA MORNING POST
<検閲に力を入れ過ぎるあまり、運動選手やリスのビキニ姿にまで...>
イスラム教徒の多いインドネシアでは、「ドラえもん」の放映も一苦労だ。香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポスト(SCMP)が報じるところによると、保守的なイスラム教徒からの批判を恐れたインドネシアのテレビ局は海外から輸入したコンテンツの放映に神経をすり減らしている。漫画はシーンによってカットされたりぼやかされたり、女性の運動選手やミスコン出場者にもモザイクがかかる。
SCMPによると、検閲の対象は今後、インターネット配信にまで広がる可能性があるという。ただ、子供を持つ一部の親たちはこの動きを歓迎しているようだ。
(女性の競泳選手は顔から下にモザイクがかけられる)
警告3回で放送許可を取り下げ
インドネシア情報省のもと、国内の放送監督を行うインドネシア放送委員会(KPI)は、行動規範と放送規格に違反していると思われるコンテンツに警告を出す機関。罰金は設けられていないが、段階的に警告を発し、3回目の警告の後には放送事業者の放送許可を取り下げる権限を持っている。ただ、放送されるコンテンツの検閲は放送事業者の責任の範疇で、この警告を恐れて過度な放送規制が自主的に行われているようだ。
例えば、KPIは今年、キスシーンを含んだ番組を放映しようとしたテレビ局に対し、警告を出した。その番組は愛憎渦巻く昼メロドラマかと思いきや、日本でも人気のイギリスアニメ「ひつじのショーン(Shaun the Sheep)」。問題とされたキスシーンは性的に見えるものではなかったという。
KPIは、児童保護に関する法律と、放送行為規範および放送規格の性的内容制限に関する法律に違反すると判断したそうだ。KPIの広報担当アンディ・アンドリアントによると「該当するシーンは女性の胸の谷間にリングが落ちるところから始まり、それからカップルはお互いを見つめ合ってキスした」そうだ。それで、この番組は幼い子供たちにとって不適切だと判断したとSCMPに説明した。