中国軍駐留で北朝鮮の非核化を
しかし現在の世界情勢は当時と全く異なる。核拡散防止の原則を守り、そして第三次大戦が勃発するリスクを減らすためなら、中国も朝鮮半島に最小限の兵力を配備することに同意するかもしれない。
とはいえ、「主体(チュチェ)思想」を掲げる北朝鮮がそれを受け入れる保証はない。建国の父・金日成(キム・イルソン)国家主席も、中国に頼らずに朝鮮半島を統一する夢を最後まで捨てなかった。
金日成の北朝鮮は中国のおかげでアメリカの反撃から生き残れたが、金一族は今もこの巨大な隣国に対して複雑な思いを抱いている。中国の支援の必要性を認めながらも、依存する腹立たしさと、手を差し伸べる中国への警戒感が入り交じっている。中国による「再保証」を北朝鮮に受け入れさせるのは不可能ではないが、ひどく難しい。
北朝鮮を説得できるかどうかは中国の肩に懸かっている。アメリカも韓国の不安を打ち消す努力をしなければならない。しかも北朝鮮は、金体制の転覆を狙った陰謀と解釈する可能性がある。そうした疑念を払拭するのは、これまでにないほどの大きな外交課題だろう。
とはいえ、金正恩に核を放棄させる効果的な他の選択肢があるとは思えない。この「再保証」でも北朝鮮が核にこだわるとしたら、それは核武装に「自衛」以外の目的がある証拠かもしれない。いずれにせよ、妙な臆測は無用だ。必要なのは積極的で創造力に富む外交努力。およそ自制ということを知らない核兵器保有国の誕生だけは、何としても防がねばならない。
いかに腹立たしくても北朝鮮の体制存続を保証してやること。誰もが納得できる戦争回避の方法は、それしかないのかもしれない。