英ブレグジット「どの段階でも後戻り可能」 離脱条項起草者が明言
11月10日、メイ英首相(写真)は有権者を間違った方向に導くのをやめ、英国がEUからの離脱(ブレグジット)交渉の破棄を一方的に決断すれば、ブレグジットは回避可能になると認めるべきだと、リスボン条約第50条の起草に関わったジョン・カー元英駐EU大使は語った。ロンドンで9日撮影(2017年 ロイター/Toby Melville)
メイ英首相は有権者を間違った方向に導くのをやめ、英国が欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)交渉の破棄を一方的に決断すれば、ブレグジットは回避可能になると認めるべきだと、リスボン条約第50条の起草に関わったジョン・カー元英駐EU大使は10日語った。
今年3月29日に同条約第50条を発動し、EUに離脱すると正式に通知したメイ首相は、ブレグジットを阻止しようとする議会内のいかなる試みも許さないと明言している。
50条を発動して、メイ首相は2年間の離脱プロセスを始動させた。これまでのところ、離脱交渉は好調とは言えない。賭けに出たメイ首相は6月、解散総選挙を実施したが、自身が率いる与党保守党は過半数を割り込んだ。
「離脱交渉が進む間、英国はまだEUの一員だ。和解は可能だ」と、1990年から95年まで英EU大使を務めたカー氏はロンドンで行ったスピーチで強調した。
「離脱プロセスのどの段階でも変更はできる」とし、リスボン条約第50条の法的義務は英国に誤って伝えられていたと同氏は指摘。「英国民は誤って導かれるべきではない、ということを知る権利がある」と述べた。
50条を発動した日、メイ首相は英議会で「後戻りすることはない」と述べ、10日には英国は2019年3月29日のグリニッジ標準時(GMT)午後11時にEUを離脱すると発表した。
2016年6月の国民投票では、有権者の51.9%がEUからの離脱を支持した一方、48.1%は残留を望んだ。
離脱派は、離脱プロセスを停止させることは民主主義に反すると主張。一方の残留派は、英国はどのような離脱交渉の結果に対しても最終的な判断を下す権利があるとしている。
もともとは離脱に反対する立場を取っていたメイ氏は、国民投票後の政治的混乱のさなかに首相に就任した。同氏は先月、英国は50条の発動を無効にしないと語った。