英ブレグジット「どの段階でも後戻り可能」 離脱条項起草者が明言
後戻りしない
だが国民投票が実施されてから、マクロン仏大統領やブレア元英首相、米著名投資家のジョージ・ソロス氏といったブレグジットに反対する人たちは、英国は考えを変え、同国経済にもたらすであろう壊滅的影響を避けることが可能だと提言している。
ブレグジットに関する各世論調査ではこれまでのところ、心変わりの兆しはほとんど見られない。メイ首相率いる保守党も野党労働党も、1973年に加盟したEUからの離脱を今では明確に支持している。
離脱派は新たに国民投票を実施したりブレグジットを阻止したりするいかなる試みも、世界第5位の経済大国である英国を急激に危機に陥らせることになると、繰り返し主張している。
「再び国民投票を行うことは、英国を未知の領域に向かわせ、われわれの民主主義にとても深刻な結果をもたらす可能性がある」と、先の国民投票で2つある離脱キャンペーン団体の1つの設立に関わったリチャード・タイス氏は指摘した。
しかし離脱プロセスは、英国の裁判所で数多くの訴訟に直面している。その多くはいまだ答えのない「50条を撤回することは可能か」という疑問に集中している。
256語からなるこの条項は、いったんプロセスが発動されたら無効にできるかについては規定していない。つまり、もし弁護士が明確化を求めた場合、それはEUの最高裁判所にあたる欧州司法裁判所(ECJ)の判断に委ねられることになる。
2002─03年にリスボン条約第50条を起草した欧州憲法制定会議の事務局長を務めたカー氏は、英国内における同条を巡る論争は不正確に解釈されており、メイ首相による50条発動の通知は無効にできることは明らかだと語った。
ブレグジットの合法性への関心は非常に高く、この問題に関するメイ首相の非公表の法律答申を公表するよう、著名な弁護士であるジェシカ・シモル氏が正式に求めている。
「英国は、2019年3月29日までいつでも離脱を取りやめることが基本的には可能だ」と、シモル氏は先月ロイターに語った。
「50条を無効にできるなら、政府が取引に失敗したり、取引結果がひどい内容だったり、あるいは国民が望まなかったりした場合、議会には必要とあれば国を救済する権限がある」
(翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)
[ロンドン 10日 ロイター]
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