北朝鮮、新型ICBM「火星15」発射成功と表明 「米全土到達可能」
11月29日、北朝鮮の国営メディアは、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」の発射実験に成功したと報じた。写真は発射を報じるTVニュース画面を眺める人々。ソウルで撮影(2017年 ロイター/Kim Hong-Ji)
北朝鮮の国営メディアは29日、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」の発射実験に成功したと発表した。新型ICBMは同国が保有する最も強力なミサイルで、米国全土への到達が可能としている。
北朝鮮側の発表によると、ミサイルの高度は4475キロ。飛行距離は950キロで、飛行時間は53分だったという。北朝鮮がミサイル実験を行うのは9月半ば以来。
国営メディアによると、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、新型ICBMの発射成功を見届けた後、同国がミサイル技術を確立させ、核兵力を完成させるという目標をついに実現したと宣言した。
北朝鮮は発表文の中で、自らを「責任ある核保有国」と表現した上で、米国の政策と核の脅威から自国の主権と領土を守るために戦略兵器を開発していると警告した。
日米韓の当局者はいずれも、今回発射されたミサイルがICBMである可能性が高いと分析している。
日本のEEZ内に落下
北朝鮮は29日午前3時18分ごろ、同国西岸から大陸間弾道弾(ICBM)とみられるミサイル1発を発射した。ミサイルは高度4000キロ以上に達し、53分程度飛行、日本海の日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。北朝鮮の弾道ミサイル発射は約2カ月半ぶり。通常の打ち方をすれば、米国本土まで十分に届いた可能性がある。
日米首脳は電話会談を開き、連携して北朝鮮に圧力をかける方針や、中国の役割の重要性などを確認した。トランプ米大統領はホワイトハウスで記者団に「われわれがこの状況に対処していく」とした上で、北朝鮮に引き続き厳しい姿勢で臨む考えを示した。
安倍晋三首相は官邸で記者団に対し、「国際社会の一致した平和的解決への意思を踏みにじり、このような暴挙を行ったことは断じて容認できない」と非難。「国際社会は団結して制裁措置を完全に履行していく必要がある。圧力を最大限まで高めていく」と語った。
国連の安全保障理事会は日本時間の30日朝に緊急会合を開くことを決めた。ティラーソン米国務長官は「現行のすべての国連制裁を実施することに加え、国際社会は(北朝鮮への)海上交通を阻止する権利など海洋安全保障の強化に向けた追加措置を講じる必要がある」との声明を出した。