韓国当局、尹氏の拘束執行中止 大統領公邸に進入も警護隊と対峙
韓国の捜査当局は、尹錫悦大統領(写真)に対する逮捕状の執行に向かっている。2024年12月撮影(2025年 ロイター/The Presidential Office/Handout via REUTERS)
Eduardo Baptista Hyunsu Yim Joyce Lee
[ソウル 3日 ロイター] - 韓国当局は3日、先月の戒厳令宣布を巡り内乱容疑で捜査している尹錫悦大統領に対する拘束令状の執行に乗り出したが、公邸内で警護隊などと6時間にわたり対峙した後、執行を中止した。
尹氏が身柄を拘束されれば、韓国の現職大統領として初めてとなる。同氏は国会で弾劾訴追され、職務停止となっている。
警察や検察との合同捜査本部を率いる高官犯罪捜査庁(高捜庁)は現地時間午前7時(日本時間同)過ぎに大統領公邸前に到着。バスが私道を塞いでいたことなどで高捜庁の車両は敷地内に入れず、高捜庁関係者は門から歩いて入ったが、多数の警護隊に阻まれにらみあいとなった。
高捜庁と警察が敷地内に入ると、大統領警護庁の部隊や警護に派遣された軍部隊に包囲された。警護庁と派遣された軍部隊の人数は、高捜庁と警察の数を上回ったという。国防省によると、軍部隊は警護庁の統制下にある。
高捜庁は午後1時半ごろ、妨害による職員の安全への懸念から、尹氏の拘束を中止。「膠着(こうちゃく)状態が続いているため、拘束令状の執行は事実上不可能と判断した」という。当局に従わない尹氏の態度を「深く遺憾に思う」とし、今後の対応を検討するとしている。
聯合ニュースによると、警察は拘束令状執行を妨害した容疑で、警護庁長官と副長官に4日に出頭するよう召喚状を出した。
大統領の弁護団は3日の声明で、同氏に対する無効な拘束令状の執行は違法だとし、法的措置を取ると表明。執行中止後には、高捜庁に内乱罪を捜査する権限がなく、拘束令状の強制的執行は遺憾だと指摘、警察当局にも協力しないよう警告した。
大統領府は、国家安全保障に直結する施設である官邸を無許可で撮影したとして、放送局3社などを刑事告発した。
当局が拘束令状を執行するとの報道を受け、公邸周辺には夜明け前から数百人が支持者が集まり、逮捕を「命懸けで阻止する」と抗議の声をあげた。
拘束令状は1月6日まで有効。拘束も48時間だけで、拘留発布を要請するか釈放かを判断する。
崔大統領代行の権限で警護庁に協力を命じることも一案だと専門家は指摘。高捜庁は3日遅く、命令するよう大統領代行に要請することを明らかにした。
捜査とは別に、弾劾裁判も憲法裁判所で進められている。憲法裁は3日、初の弁論を14日に開くと発表した。ユン氏の弁護士は記者団に対し、最初の弁論には出廷しないかもしれないが、今後の審理では自らの立場を主張するために出廷する可能性が高いと語った。
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