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韓国の捜査機関、ユン大統領の拘束執行を中止 警護庁と軍人200人余りが幾重にも壁を作って阻止

2025年1月3日(金)16時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
ユン大統領の公邸に侵入した合同捜査本部

ユン大統領の公邸に侵入した合同捜査本部 YTN / YouTube

<合同捜査本部150人の他、機動隊がバス135台、隊員2700人を投入し不測の事態に備える>

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対して、内乱を首謀した容疑の逮捕状が12月31日に出されたが、3日午前8時すぎ、警察非常戒厳特別捜査団と高位公職者犯罪捜査庁(以下、公捜庁)は、ソウル市内にある大統領公邸で令状の執行に乗り出した。約150人の捜査官が投入されたことが確認された。聯合ニュース、YTN、MBCなど韓国メディアが一斉に報じている。

13時30分、公捜庁「ユン大統領の拘束執行不可能と判断」

公捜庁は、ユン大統領の拘束執行について「拘束令状執行のため続いた警護庁との対峙状況で、事実上拘束令状執行が不可能だと判断した」「執行阻止による現場人員の安全が憂慮され午後1時30分頃に執行を中止した」と明らかにした。

公捜庁は「今後の措置は検討後に決める予定」とし、「法による手続きに応じなかった被疑者の態度に深く遺憾を表わす」と付け加えた。

公捜庁の関係者は、記者団に対し「今日の執行人員が公捜庁20人と警察80人の計100人程度の規模だった」として「公邸から200メートル以内までは接近した。バスや乗用車など10台以上が封鎖した状態であり、警護庁と軍人200人余りが幾重にも壁を作っており、到底入ることができない状況だった」と説明した。

続けて「公邸までは接近できるよう協議が進み、公邸前まで検事3人が行った」としながらも「私たちが執行する人員よりはるかに多くの人員が集結した状況で安全上の憂慮が大きく執行を中止することにした」と明らかにした。

それと共に「個人用の火器を携帯した人員もいた」として「段階別に大小の小競り合いがあったと理解している」と話した。

公捜庁は逮捕·捜索令状の有効期間である6日以内に再度令状執行に乗り出すものと見られる。

12時19分、ユン大統領の弁護人、大統領公邸に入る

ユン大統領に対する逮捕令状の執行に乗り出した公捜庁と警察庁の合同捜査本部が警護庁と長時間対峙するなか、ユン大統領の弁護団の金弘一(キム・ホンイル)弁護士、尹甲根(ユン・ガプブン)弁護士が公邸に入っていったことが確認された。ユン大統領と今後の対応について協議するものと見られる。

先立ってユン弁護士は「現在、憲法裁判所と裁判所に令状に対する異議手続きが進行中」「不法な令状執行に対しては執行過程の違法状況に対して法的な措置をする」と声明を発表している。

10時30分、警備の軍部隊を突破するも警護庁長「捜査許可しない」

ユン大統領に対する逮捕令状の執行に乗り出した公捜庁と警察庁の合同捜査本部が警護庁長にユン大統領に対する逮捕令状を提示し、協力を要請した。しかし、警護庁長は「捜索不可」という立場を崩しておらず、対峙が長時間続いている。

合同捜査本部は3日「警護庁長に逮捕令状を提示し協力を要請しているが、警護庁長が警護法と警護区域の理由で捜索不許可の立場を守っている」と明らかにした。 合同捜査本部は、第1次(公邸正門)、第2次(軍部隊)の阻止線を突破し、官邸のすぐ前の警護部隊と対峙している。

大統領警護法第5条は警護庁長が「警護業務の遂行に必要だと判断される場合、警護区域を指定できる」となっている。 また「秩序維持、交通管理、検問·検索、出入統制、危険物探知および安全措置など危害防止に必要な安全活動ができる」と規定している。

公捜庁は今回の拘束執行に先立ち令状の執行を妨害すれば、職権乱用、権利行使妨害罪、特殊公務執行妨害罪となると、大統領室などに警告していたが、現在のところ公務執行妨害での逮捕者はまだいないもようだ。

これに先だって軍部隊が捜査チームを阻止し、約20分ほど対峙した。

警護庁と軍部隊はミニバスと軍用車両と推定される車両を利用して官邸建物に向かう入口を塞いだ。この部隊は陸軍首都防衛司令部55警備団と推定される。55警備団は公邸敷地内の警護任務を担っており、大統領警護法などによって警護庁に配属されて服務する。合同参謀本部は、彼らの指揮統制権限は警護庁にあると明らかにした。その後、空輸処は、軍部隊の阻止を突破したことが確認された。

9時、敷地内には入ったものの建物内には警護の軍部隊により入れず

警察と公捜庁が構成した合同捜査本部は3日午前、ソウル龍山区漢南洞(ヨンサング·ハンナムドン)の大統領官邸に逮捕令状を執行するため、公捜庁30人と警察120人の計150人を投入したと発表した。

このうち、官邸の境内に進入した捜査官は、公捜庁30人と警察50人の計80人だと、捜査本部は明らかにしている。

ただ、官邸の境内に進入した捜査官らは、警護の軍部隊と対峙して内部に入ることができずにいる。捜査本部の関係者は「現在、首都防衛司令部と推定される軍部隊が捜査官の逮捕令状執行を阻んでいる」と話した。これは現在、公邸の警備を担当している陸軍の55警備団と推定される。大統領警護庁ではない一般兵士が逮捕令状の執行阻止に動員されたもようだ。

ユン大統領の支持者たち「警護庁は発砲せよ!」

警察は捜査官の他にも公邸付近にソウル警察庁所属の機動隊45部隊2700人余りを投入し、機動隊バス135台も現場で配置し、大統領支持者たちによる不測の事態に備えている。公邸の隣のソウル漢南(ハンナム)小学校付近には、ユン大統領の逮捕を阻止するという保守団体の会員らユン大統領の支持者たち数百人が集まっている。

支持者たちは「警護庁頑張れ」「警護庁、命をかけて尹大統領を守れ」「警護庁、大統領を守れなければ裏切り」といったスローガンを叫んでおり、なかには「警護庁は発砲せよ」というスローガンまで飛び出した。一部の激昂した支持者たちが公邸のバリケード近くに来て警察に制止されてはいるが、まだ大きな衝突はない状況だという。

ただ、官邸前まで迫った公捜庁側が警護庁長に逮捕令状を提示したというニュースが伝えられると、支持者の反応が激しくなった。極右系YouTuberたちも「一時間以内にここに皆集まってほしい」というライブ配信を続けており、ユン大統領支持者たちがさらに集まると予想される。

ユン大統領は12月3日に突然戒厳令を宣言し、内乱首謀および職権乱用権利行使の疑惑を受けている。公捜庁は、ユン大統領が3度も出頭要請に応じないと、先月30日、ソウル西部地裁に逮捕令状を請求し、翌31日午前、令状を取った。尹大統領側は逮捕令状が「不法無効」だと主張している。

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