北朝鮮との裏取引を許さないアメリカの(意外な)制裁力
国際的制裁を補完するため、アメリカは強制力がある独自の制裁を行う。手段の1つが、自国民を対象に敵国やテロ組織との取引などを禁じる1次制裁と、経済制裁を主とする非米国人対象の2次制裁だ。
アメリカは現在、北朝鮮に関して幅広い1次制裁を実施。北朝鮮とのあらゆる「物資、サービス、技術」の取引を禁じ、財務長官は米国法の下で制裁遵守を求める権限を有する。
エジプトによる北朝鮮製武器の輸入は、アメリカで昨年成立した北朝鮮制裁強化法に抵
触。国益を理由に国務長官が見合わせを要請しない限り、大統領は同法に従い当該国への支援を留保しなければならない。
北朝鮮制裁強化法は大統領に、武器取引を手助けした人物を特定する権限も付与する。財務長官は広範囲の2次制裁と併せ、武器取引の当事者(この場合はエジプト政府関係者)に対して、米金融システムへのアクセスを遮断することができる。
北朝鮮の武器密輸を阻止し、取引を手助けする国を規制すべく、国連と米政府は複数の措置を講じている。エジプトについてアメリカは可能な手段を全て行使していないが、その必要はないだろう。問題の貨物船が拿捕されて以来、エジプトは協力姿勢に転じている。
一連の出来事は、アメリカの支援対象国に米政府の法施行の徹底ぶりを印象付け、北朝鮮と取引する国に再考を迫ることになるのだろう。そう、制裁はきちんと機能しているのだ。
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[2017年10月17日号掲載]