安全よりスピード重視 中国、食事のデリバリーブームで事故急増
江蘇省宜興では8月、美団外売の配達員数十人が、賃金と負傷した場合の補償について抗議するストライキを行った。傷だらけの足を見せ、遅配の罰金が給料からどれほどたくさん差し引かれているかを示す手書きのメモを掲げて抗議した。
美団外売による昨年の報告書によれば、配達員の大半が農村から出稼ぎにきた26歳以下の若者で、収入のほとんどを家族に仕送りしている。
「フードデリバリー各社は、もっと人間的な経営をすべきだ」と、共和党機関紙の人民日報は最近の論評で批判した。「スピードだけを追求する営業モデルを改め、安定を追求すべきだ。食事の配達のために、配達員の生命を危険にさらしてはならない」
Ele.meの広報担当者は、「配達スピードと交通安全のバランスを取ることは、実際非常に難しい」と認めたうえで、配達ルートを最適化し、ドライバーの動きを把握するため、AI(人工知能)を導入する方向だと話した。
他の荷物配達業に比べて、食品の出前サービス会社は、ドライバーにかかる時間のプレッシャーがより大きく、配達ルートも一定ではないため、これまで多くの批判を浴びてきた。
だが、より広範なデリバリー業界も問題を抱えている。
北京の荷物配達のドライバーで、河北省出身のNiu Hongqiangさん(23)は、彼が受けた安全訓練は「役に立たない」と話す。「何かトラブルが起きるときは、大きなトラブルになる」
(Christian Shepherd記者 翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)
[北京 28日 ロイター]