BMWとベンツが電気自動車の量産戦略 テスラに対抗へ
死のブルースクリーン
自動車業界の出身者は、既存の大手メーカーをひっくり返すのは、多くのテクノロジー業界幹部が考えている以上に難しいと話す。
テスラ出身で、今は独自動車部品メーカーのボッシュでカーエレクトロニクス部門の責任者を務めるハリー・クルーガー氏は、これまで数多くのテクノロジー企業が自動車分野で失敗してきたと指摘する。
「あの古き良きハードウエアに、どれほどの精巧さが詰まっているか過小評価する傲慢にはリスクが伴う。車を作り上げている各部品には130年分の進化があり、 痛い目にあって学んだ教訓も込められている」と、クルーガー氏はロイターに語った。
「ガジェット(電子機器)なら動作異常が起きてもどうということはないが、われわれが扱っているのは、時速160キロで走るものだ。(PCのように)『死のブルースクリーン』が突然現れるような事態は誰も望まない」
真に革新的なデザインには、厳しい安全基準という制約も課されている。車のブレーキを制御するチップが、車内の情報・娯楽を提供するインフォテインメントシステムを同時に制御することは、認められないだろう。
「曲をダウンロードしている時に異常が起きたらブレーキが作動した、というようなことがあってはいけない」と、クルーガー氏は言う。同氏によると、ハッカーがインフォテインメントシステムに侵入して自動車を操作した事例がすでに起きている。
テスラは独大手メーカーの脅威になり得るが、それは来年までに生産台数を50万台に拡大できた場合だ。また結局は、シリコンバレーの企業は、新参企業のように行動するのではなく、独大手を模倣することで自動車業界で成功を収めることになるかもしれないと、クルーガー氏は言う。
「テスラには、古い自動車業界出身の技術者が何千人といる。それが、自動車を開発できた秘密だと思う」
(翻訳:山口香子 編集:伊藤典子)
[フランクフルト 4日 ロイター]