最新記事

経済制裁

ロシアから燃料密輸? 北朝鮮船、行き先変更など「疑惑の航路」

2017年9月22日(金)16時09分

9月20日、今年ロシアから燃料を積んで出港した北朝鮮籍の船舶のうち少なくとも8隻が、違う行き先を申告しながら北朝鮮に航行していた。写真はウラジオストクの港。2007年10月撮影(2017年 ロイター/Yuri Maltsev)

今年ロシアから燃料を積んで出港した北朝鮮籍の船舶のうち少なくとも8隻が、違う行き先を申告しながら北朝鮮に航行していた。これは国連制裁逃れとして頻繁に使われている手口だと、米政府関係者は指摘する。

8隻の動きを記録したロイターの船舶追跡データによって明らかになった。ただ、出港後の行き先変更は禁止されておらず、これらの船舶による違反行為の確証は得られていない。また、これらの船が燃料を北朝鮮で荷下ろししたかは不明だ。

だが米政府関係者は、航行中の行き先変更は、核開発を巡り国連安全保障理事会が課した制裁措置を回避するために北朝鮮政府が使う典型的な手段だと指摘する。

こうした行き先変更や、海上輸送に複雑な形でさまざまな仲介企業が関わっていることが、北朝鮮向けの燃料供給量をチェックし、国連制裁で定められた燃料の輸入上限が守られているかを監視する作業を困難にしている。こうした仲介企業は、海外に拠点を持つものも多い。

「収入確保の努力の一環として、北朝鮮の政権は、海運ネットワークを使って物品を輸出入している」と、米財務省のビリングスリー次官補は今月の米議会公聴会で証言した。

「北朝鮮は、詐欺的な慣行を用いてこれらの物品の本当の原産地を隠している。普段から船籍や書類を虚偽申告をしている」と、同次官補は付け加えた。

マドゥサン号の航路

問題となった8隻は、ロシア極東のウラジオストク港またはナホトカ港を出港。ポート・ステート・コントロールには、行き先として中国か韓国と申告していた。

ロシアを出港後、これらの船は北朝鮮の金策、清津、興南区域、羅津の港の沖でデータに記録されていた。中国に向かった船はなく、ほとんどの船が再びロシアに戻っていた。

8隻全てがディーゼル燃料を積んでいたと、ウラジオストクの船舶サービス関連企業の関係者は言う。それぞれの船舶の積載重量トン数は500─2000トンだった。

その中の1隻は、北朝鮮のKorea Kyongun Shippingが所有するマドゥサン号だ。同船は、ロシアのインディペンデント・ペトロリューム・カンパニー(IPC)が所有するウラジオストク港のターミナルで545トンの船舶用燃料を積み込んだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

パウエルFRB議長、早期退任改めて否定 「任期全う

ビジネス

トランプ氏、TikTok米事業売却期限をさらに75

ワールド

グリーンランドはデンマーク領であること望まず=米国

ビジネス

中国が報復措置、全ての米国製品に34%の追加関税 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 2
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描かれていた?
  • 3
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡眠の「正しい関係」【最新研究】
  • 4
    テスラが陥った深刻な販売不振...積極プロモも空振り…
  • 5
    大使館にも門前払いされ、一時は物乞いに...ロシア軍…
  • 6
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    地球の自転で発電する方法が実証される──「究極のク…
  • 9
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 10
    アメリカから言論の自由が消える...トランプ「思想狩…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 10
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描か…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中