北朝鮮に安保理の制裁決議の影響 燃料価格が高騰
燃料価格の上昇
北朝鮮はそれでも経済独立性を高めており、国際的な圧力が経済に大きな影響を及ぼしているとの見方で、全ての貿易商や関係者が一致している訳ではない。
供給制限や物資不足に長年慣らされている北朝鮮住民の多くは、ただでさえ不足している燃料供給がさらに制限されることを最も心配していると、脱北者で現在は韓国の北朝鮮専門ネット新聞「デイリーNK」で働くKang Mi-jinさんは話す。
「米国がたとえ平壌爆撃計画を公表したとしても、北朝鮮人は気にも留めないだろう。だがもし中国が、ミサイルや核実験を理由に北朝鮮への石油輸出削減を検討していると公表すれば、大騒ぎになる」と、Kangさんは言った。
ロイターは6月下旬に、中国石油天然気集団(CNPC)が、代金が回収不能になる懸念から、北朝鮮へのガソリンと燃料の輸出を停止したと報じた。中国税関のデータによると、7月の北朝鮮向けガソリン輸出は前年比97%減少している。
北朝鮮のガソリンとディーゼル燃料価格は、輸出停止措置を受けて急上昇し、昨年下旬と比べほぼ2倍になっている。デイリーNKによると、9月上旬のガソリン平均価格は、1キロ1.73ドル(193円)で、12月下旬の0.97ドルからほぼ倍増した。
「生活費は上昇し、石油価格も上がり、道路を走る車の数も減っている」と、平壌在住の外国人はロイターに語った。中国が今年北朝鮮からの石炭輸入を停止したことを受け、石炭だけは価格が下がったという。
石油の供給不足や価格高騰は、さらなる供給制限を見込んだ「備蓄」の動きにも原因があるかもしれない。
北朝鮮は、沿岸部の元山で今月予定されていた航空ショーを、「現在の地政学的情勢」を理由に中止した。複数の中国貿易商は、中止の原因は、軍が航空燃料を節約しているためだと指摘する。
最新の国連制裁は、北朝鮮へのコンデンセートと天然ガス液の輸出を禁止し、石油精製品は年間200万バレルを上限とした。また原油は現行輸出量を上限とする内容だ。