北朝鮮に安保理の制裁決議の影響 燃料価格が高騰
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9月13日、北朝鮮経済は、中国による燃料輸出削減など、貿易面での締め付けによる打撃を受けつつある兆候を見せている。写真は9日、中朝国境の鴨緑江で船に乗る北朝鮮の人々。中国丹東から撮影(2017年 ロイター/Jacky Chen)
国連は北朝鮮の兵器開発を遅らせることに失敗したかもしれない。だが、北朝鮮の経済は、中国による燃料輸出削減など、貿易面での締め付けによる打撃を受けつつある兆候を見せている。
国連安全保障理事会が11日に採択した追加制裁は、北朝鮮の数少ない外貨獲得手段の1つである繊維輸出を禁止した。また、米国が望んだ完全禁輸ではないものの、石油と石油製品の輸入量に制限を設けた。
燃料供給量が減少し、価格が上昇するにつれ、北朝鮮国内で制裁の影響が出始めている、と同国との国境地帯を拠点とする中国貿易商や、北朝鮮を定期的に訪問する関係者は語る。以前の国連制裁で、海産物や石炭などの輸出が禁じられたことも影響しているという。
「北朝鮮のわれわれの工場は、倒産寸前だ」と北朝鮮の工場で中古車を整備して販売する丹東の韓国系中国人ビジネスマンは語る。「代金が支払われないのに、商品を(北朝鮮の顧客に)タダで渡すわけにはいかない」
丹東を拠点とする別の自動車関係の貿易商は、中朝の国境貿易はこの数年打撃を受けているとし、制裁と石油へのアクセス減が原因だと述べた。制裁により、北朝鮮企業の貿易に必要なハードカレンシーを稼ぐ力が弱まっていると話す中国人貿易商もいた。
「先月の売り上げは非常に悪かった。数台しか売れなかった」。新車のトラックやバン、ミニバスを北朝鮮で販売する中国人貿易商はそう語る。「昨年8月は数十台売れたが、それでも悪いと思っていた」
制裁に加え、中国当局が国境における密輸取り締まりを強化したと指摘する貿易商もいた。密輸は、北朝鮮北部では主要な燃料源となっている。
また、中国の東北部にある銀行の支店が北朝鮮人との取引を縮小していると、銀行筋が明らかにしている。